内容説明
中城ふみ子が亡くなって四十余年の歳月が流れた。本書では、作品を一首一首採り上げて具体的に鑑賞している。著者はつとめて平易な文章で、帯広時代のことは生身の中城ふみ子を知る人の言葉を尊重し、入院してからの札幌のことは想像を交えず自分の目で見、直接触れたことを忠実に鑑賞の中で生かすように努めている。
目次
波瀾に富んだ中城ふみ子の生涯(両親の寵愛、幸福な少女時代;不羈奔放な女学院時代;歯車が狂い出した四国の生活;子供二人を引き取ってついに離婚 ほか)
中城ふみ子秀歌鑑賞(出奔せし夫が住むといふ四国目とづれば不思議に美しき島よ;背かれてなほ夜はさびし夫を隔つ二つの海が交々に鳴る;倖せを疑はざりし妻の日よ蒟蒻ふるふを湯のなかに煮て;水の中に根なく漂ふ一本の白き茎なるわれよと思ふ ほか)