内容説明
この本は、千樫の生い立ちから死後までに至る400余ページにわたる大著である。先にも触れたが、千樫の生活の中より生まれる精神的悲傷を語り、人間像を浮き彫りにしつつ、秀歌の背景に鋭いスポットをあてている。これは歌人の透徹した目に加えて、学者の論理的な眼の検証であると言える。殊に、生活から生み出された千樫短歌の到達点ともいえる「稗の穂」一連の歌に対する優れた考察には、千樫の感性や、歌人としての資質の高さが如実に立証されており、写生短歌の本質を知ることができる。いま一度目を留めたい。
目次
はじめに
生い立ちと郷土
師左千夫と出郷
島木赤彦に出会う
結婚と『アララギ』
富士登山、左千夫の死
千樫歌風の形成
作歌の悩みと試み
門人松倉米吉と死
茂吉の外遊と惑いの日々〔ほか〕
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