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内容説明
還暦を迎えた主人公の「僕」は40年近く日本で暮らし、大学で国文学を教えるベルギー人。あるきっかけで手話に興味を持ち、自らも手話サークルなどで学んでいるが、オンライン講座で知り合った岐阜に住む40代のER看護師・梓に、画面越しに惹かれてしまう。観光を兼ねて訪れた岐阜で初めて対面した二人は、聴者ながら手話だけでコミュニケーションを取ろうという梓の提案で、ちょっと風変わりな旅をする。やがて二人は恋に落ちるが、「僕」が東京に戻った後、梓から衝撃的な真実を打ち明けられる…そして2025年秋、様々な葛藤を乗り越えて上京しデフリンピックを観にきた梓と、再会に胸をときめかす「僕」。華やかな祭典を舞台に、迎える二人の恋の予期せぬクライマックスとは?
著者等紹介
ゾペティ,デビット[ゾペティ,デビット] [Zoppetti,David]
1962年、スイス生まれ。高校時代から独学で日本語を学ぶ。90年、同志社大学(国文専攻)卒。91年、初の外国人正社員としてテレビ朝日に入社。96年、『いちげんさん』ですばる文学賞を受賞、芥川賞候補となる。98年、執筆に専念するためにテレビ朝日を退社。著書に『旅日記』(日本エッセイスト賞受賞)などがある。また、現在、執筆のかたわら、東京都内の地域手話通訳者を目指して、刻苦勉励中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃが
47
梓は中途聴覚障害を負い、世界の輪郭が突然変わってしまった。それでも彼女は「役に立つかどうか」ではなく、自立した自分の感性の赴くままに生き直そうとしている。手話も、太鼓やステップを伝う振動も、失われたものの代わりというよりも、いまの身体で世界を確かめるための手段だ。周囲のある種の思いやりに安易にもたれず、葛藤しながらも自分の形を取り戻していく姿には、強さというより誠実な息づかいがある。読後には、世界は耳だけで受け取るものではないと、気づかされる。2025/11/26
ドシル
7
日本語が母国ではない方が書いたと言うことに驚いた。 第二言語の書き言葉をここまで操り、物語を紡ぎだすことができるのだなあと感心してしまった。 この作品の主人公は、著者同様に日本で暮らす外国人で日本手話を学んでいる聴者。地域の通訳活動もしている。 そんな彼の大人の恋愛小説で、デフリンピックがカギになっている。 東京デフリンピック開催前に発行されているから、フィクションなので開閉会式に自由に参加できて羨ましい(笑) 後半に、手話表現を描写したシーンに「ジェスチャー」と出てくるのが残念。2025/12/24
Maumim
1
手話での会話が小説の中で展開されていく。デビット・ゾペティの端正な文章がいいなあ。母語ではない日本語なのに…というのは彼にとってはもはや余計だな。デフリンピックの楽しげな雰囲気、2人の艶やかな空気感。最後に梓が伝えた「言葉」はなんだったのか。説明はあるけど、具体はない。読むことを楽しめた小説。2025/12/10
ブックマニア
0
相当のキャリアを積んだらしい作者にとって要らぬ感想だろうが、外国人がここまで瑞々しい日本語を書けるとは驚き。感心して一気に読んだ。聴者ながら手話で語り合うベルギー人の「僕」と年下の看護師梓。この設定の意図が明らかになった時、激しい衝撃を受けると共に、巧い!と思わず唸った。馴染みのなかった手話という視覚的言語の奥深さにも魅了された。その描写は美しくて的確で、ちょうど冗長にならない程度。デフリンピックの競技会場で梓の姿を必死に探す「僕」のことが少し可哀想になったが、結末に救われた。味わい深い恋愛小説だった。2025/12/01
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