出版社内容情報
最愛の妻をホスピス病棟で看取り、人工透析を受けながら身体を蝕む病と闘う…批評家が初めて等身大の日々を書き綴った〈魂の報告書〉学生時代に出会って以来、文芸批評家の仕事を支え、また「文学的同志」として人生を共にしてきた最愛の妻が、乳がんにかかった……最後まで聡明さと向日性を失わずに逝った妻を、ホスピス病棟で看取った〈看病記〉。そして妻の没後まもまく郷里に帰り、人工透析を受けながら自らの身体を蝕む病(腎臓病と糖尿病)とたたかう〈闘病記〉……そんな痛苦に満ちた日々にあって唯一、精神の拠り所となったのは「すべてを書き留める」ことだった。 文芸批評家が初めて他者のテクストを離れ、自らの等身大の姿を赤裸々に綴った〈魂の報告書(エクリチュール)〉!
川村 湊[カワムラ ミナト]
著・文・その他
内容説明
最愛の妻の看病記+自らの闘病記。
目次
1 ホスピス病棟の夏
2 透析室の冬
著者等紹介
川村湊[カワムラミナト]
1951年2月23日、北海道生まれ。法政大学法学部卒業。法政大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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azukin2
28
透析に関する小説はないかと図書館で検索してヒットした本。法政大学名誉教授で文芸評論家の著者。乳がんの末期でホスピスに入所した奥さんの側で悲しみを紛らす為に綴り続けた日記みたいなもの。頻繁にカッコが出てきてなんどか読みにくいなあと思った。( )の中は説明とか思うところなんだろうが慣れるまで時間がかかった。情景はリアルで著者の悲しみ寂しさが身に沁みた。後半はご自身の糖尿病からくる腎不全で血液透析を余儀なくされたお話。奥さんの看病を優先して先延ばしにしてきたからかなぁ。透析の実態がわかった。長生きして下さい。2025/02/17
ジュースの素
12
妻の乳がんのホスピス闘病記。夫は大学の教授であり、文芸評論家だけあってこうした記録を冷静な筆力で記してきた。乳がんと言えども全摘すればそれでいい訳はなく術後の状態が目を背けたくなるほど悲惨なのだ。 結局、摘出手術をしたのは良かったのか、悪かったのか。誰もが術後に望みを持つからこそゴーサインを出す訳だ。その夫も糖尿から来る腎不全で透析をする事に。教授ともあろう人がなぜ運転免許を取る段で落伍を何度もしたのか。運転が出来たら良かったのだが。死の迎え方をしみじみ考えた作品だった。2019/07/03
AR読書記録
6
まずは、今、著者が少しでもお元気になっていらっしゃることを祈ります。で、ここからはこの本の感想からは離れた話だが、知識人男性の、亡妻(もしくは亡き母)を恋うるの書、というのはほんま多いよなー、と思う。むろん人間関係は個々それぞれとは思うし、相手の存在が自分の存在意義になるというのも尊いこと(ここまで生きてきてそういう境地を想像すらできない自分はあかん)とも思うけど、なんかこう、まず自分の生を自分ひとりで確固として立ち上げる、そして他者によってそれが補強される、みたいなの、かっこよくない?とかさ。2019/05/23
hiratax
3
末期の乳がんの妻を看取った筆者が生まれ故郷の北海道へ戻り人工透析を始める。川村湊の姿は「対抗言論」で目にしていたが週3の透析に加え、左足の指3本半も切断しているのは知らなかった。とりとめのない内容や、繰り返しの表現も多く、文章に締まりがない。「文芸評論家」の筆者ならば怒っていたような内容なんだが、これはそのまま出すことに意味があるのだろう。以前、新聞記者の人が書いた闘病記に「データばかりで文章も平易で感情的でない」みたいなネガティブな感想が寄せられており、職業や人生体験って文章にアウトプットされるなとも。2020/05/12




