内容説明
イギリスではディケンズやブロンテ姉妹と並び称されるほど人気がありながら、なぜかわが国ではあまり知られていない作家トロロープを、初めて本格的に紹介する試み。彼の長篇がイギリスの社会や伝統に密着し、著しくイギリス的であるのに対し、その短篇は豊富な旅行の体験を生かして、独自の国際的世界へと領域を広げている。第1巻に続き第2巻では、選りすぐりの6作品を訳出。
著者等紹介
トロロープ,アントニー[トロロープ,アントニー][Trollope,Anthony]
イギリスの小説家。1815年、ロンドンに生まれる。19才の時、郵政省に勤務。職員として7年の下積み時代を経験した後、アイルランドに赴任して優秀な官吏として認められる。44年、この地で知り合った英国女性と結婚。以後一時期を除きアイルランドに16年間留まる。余暇に筆をとって、47年処女作を発表。55年、連作長編「バーセットシャー小説群」の第一作『院長』(The Warden)を発表して小説家としての地位を確立。67年退官、以後はロンドンおよびサセックスに居を構えて文筆生活に専念し、82年に没した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きりぱい
1
いいなあ、これも。短篇集Ⅰに比べて、厚かましさとか善意とか、良きにつけ悪しきにつけそういう心情の描写が際立っている気がする。何かが起こりそうで起こらない、そのたらたらの部分に味わいがあって楽しく読ませる。事が何か起こったとしても、割とあっさり切り上げられる結末には、え・・と思わず遠い目になってしまうのだけれど、余韻を残す作品もあって、19世紀イギリスの風潮というおかしみや皮肉さを添えたバラエティー豊かなドラマが楽しめる。2009/05/19
かわ
0
六篇収録。特に素晴らしかったのが「メイヨー州コナー館のオコナー一族」「馬に乗りパレスチナを旅する」の二作 「ベネツィアを去った最後のオーストリア人」もこれに次ぐ名編 「アーロントロウ」も悪くないです。「ぶち犬亭」も陰気だけど魅力的な作品でした2022/05/23