内容説明
進化論の話題といえば、今西進化論批判にことよせて科学としての進化論を正統義主義とする論争ゲームが、まさに全盛の昨今。しかし、進化論は科学であるよりもまず思想として、哲学から博物学へと深く浸透していった事情が悲しいかな忘却されている。アメリカに燃えるような知の夏をもたらしたヒストリー・オブ・アイディア・ズ・クラブはその欠落を救うべく、19世紀までの博物学書を徹底解析し、進化という“思想”の過激さ、不可解さ、そして何よりも圧倒的な思弁の広がりを明示してみせた。進化論を近代の総合的な知の問題ととらえるすべての人に、本書をぜひとも贈りたい。本書は、ダーウィンの先駆者たちの“進化”思想を、米の気鋭の思想史家らが徹底的に検証し、実に現代的な課題である“進化”を根源的に洗い直したものである。
目次
序 訳者による序論
第1章 生物学的種の観念の芽生
第2章 遺伝学と進化の開拓者、モーペルテュイ
第3章 ビュフォンと種の問題
第4章 ディドロと18世紀フランスの生物変遷説
第5章 カントと進化
第6章 ヘルダー、生物変移説なき漸進論
第7章 進化論者としてのショーペンハウアー