出版社内容情報
ノンフィクション 小学中級~一般
朝鮮戦争のさなかに生まれたユンボギ君は小学4年生。お父さんは腰をいためて寝込んでいて、弟と妹が3人もいます。10歳のユンボギ君が家長(いえの責任者)というわけです。家を出ていったお母さんをさがしながら、ユンボギ君の兄弟はどのように生きていたのでしょうか。この本の原題(「あの空にも悲しみが」)がしめすように、この世には悲しみがいっぱい満ちています。それをどのように生きぬけばよいか、ユンボギ君といっしょに考えてみたい本です。(35年のロングセラー、109版となりました。)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
41
戦争が生んだ不幸はいつも弱者に矛先を向ける。戦争がもたらす現実に目をそむけずしっかり知ることが大切。ユンボギは勉強がしたくてたまらない3年生。兄弟たちを食べさせるため一生懸命ガム売りをして生計を立てている。母は子を捨てて逃げた。ユンボギは自力で覚えた文字で日記をつける「お母さん、お腹がすいていてもいいから、何もいらないから、そばにいてほしい、帰って来てほしい」と書きつづる。彼孤独や満たされなさ悲痛な叫びはどこにも届かない。戦争をしたがる大人たちの胸には聞こえないし届かない。戦争は子供には不幸の中の不幸。2015/06/14
ヘジン
3
図書館本。韓国に関する知識ゼロの子供の頃に読んだことをふと思い出し、今改めて読んでみる。韓国の本を日本人が翻訳して公に刊行した最初の本だったのだと初めて知る。調べてみると当時、朝日・読売・毎日他各新聞が相次いで書評に取り上げ、TVのワイドショーや硬軟の雑誌でも扱われ、夏休みの課題図書にもなっていたとのこと。大人になった今の私には、ユンボギの過酷な日々の記録は涙なくしてはとても読めません。子供が犠牲になるこんな状況を2度と起こしてはならないと強く思う。2020/09/20
wakaba
1
約40年前の韓国。ガムを売りながら一家を支える少年の日記。守られるべき子どもが…と、胸が痛くなる。現代日本の子どもの貧困も、同じ構図か。親によって子どもはかくも不幸になるのか。原文は訛りの入った、かなりユーモア溢れる文章とのこと。暗い表現が多かったので、原文も味わってみたい。2015/03/05
がんぞ
1
刊行者は「朝鮮の本を、日本人が日本語に翻訳しておおやけに刊行する《最初》の本」とする。新興宗教の体験談のようで、惨めな境遇訴える露悪趣味、入信して幸福になったとかいうオチもない。「なぜこんなに貧しいのだろう」と述懐してよく泣くが(朝鮮少年は涙もろいのか)。父は「腰痛で働けない」が、「出稼ぎに行く」と言って9.14~30不在になったのは犯罪的行為を想像せざるを得ない。母親ついで姉の失踪の理由、現在の境遇も。「ガム売り」は乞食的行為だが、捕まって『希望の園』という養護施設に入れられてもすぐ脱走するのは何故か?2014/11/11
hiroban
0
日本人が日本語に訳した初の書籍 2021/01/05
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- 和書
- 童謡は心のふるさと