内容説明
英国史上初の女性首相、マーガレット・サッチャー。「鉄の女」と呼ばれた彼女は今、認知症を患い数年前に亡くなった最愛の夫・デニスの幻影と共にひっそりと暮らしていた。ある日、マーガレットはデニスの遺品整理を始める。それとともに、思い起こされるのは政治家としての輝かしい栄光と苦渋に満ちた挫折、そして心から自分を愛しいつも傍で支えてくれた最高の理解者・デニスとの思い出の日々だった―そして、彼女はふと思う。「デニス、あなたは幸せだったの?」と。涙せずにはいられない、ある夫婦の愛と感動の物語。
著者等紹介
白石まみ[シライシマミ]
小説家・脚本家。出版社勤務を経て、テレビドラマの脚本や映像作品のノベライズを数多く手掛ける。2011年には「欲ばりたい女たち」(幻冬舎)でオリジナルデビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぴこ
13
誰にとっても100%良い政策はない。彼女はジェンダーやプレッシャーをはねのけて、豊かなイギリスを復活させるために指揮を取り続けた。失業率の増加、貧富の差拡大等批判されうる点はあるが、英国病の克服や福祉政策といった功績を見逃すことはできない。サッチャリズムをそのまま現在に受け継ぐことは困難だが、首尾一貫した行動と決断力は公私に関わらず参考になると思った。2014/06/03
よしのひ
7
傍から見たら、マーガレットは認知症を患い、夫に先立たれて可哀想なのかもしれない。だが、亡き夫がたとえ自分にしか見えなくて話ができない存在(幽霊?)だったとしても、今、ここで、一緒に、時間を共有できたって良いな。恐らく今の自分は、自分年表において激動の時代をきっと過ごしているのだろう。それを何十年後かに一緒に懐かしむことができる、笑い合うことができる、また、ときめくことができる人が隣にいてくれたら、どんなに幸せなんだろうかと。自分がデニスの立場であっても、そんな人生を送りたい思えた作品。2021/08/12
misalyn
4
「鉄の女」と呼ばれた英国初の女性首相は、誰よりも英国を愛し誰よりも一途で誰よりも傷つきやすい女性だったんだなぁと改めて思った。そんな彼女を支え続けたハズバンド=デニス。認知症を患ったサッチャーさんの傍らには亡くなってもなお彼女のことを思うデニスがいる… サッチャーさんはデニスに愛され支えられて強く生きぬくことができたんだろうな。こんな夫婦の形、ちょっとうらやましい。2013/12/04
matsu04
3
メリルストリープがアカデミー主演女優賞を取った映画の原作。サッチャーの本当の姿からは程遠いと思われるが、恋愛小説としては泣ける。2012/03/21
しんた
3
感動した。イギリス政治にも女性差別はあったのか。日本も女性首相が出て来てほしい。認知症が幽霊との語らいを現しているのは、なんだか救われる気がする。2014/07/27