内容説明
古い商店街に最後に残った一軒のパン屋。閉店のその後、訪ねてきた最後の客が思い出させてくれた人情溢れる物語『「マツミヤ」最後の客』。「世間体」ばかりを気にしていた母が教えてくれた、母としての覚悟が胸にしみる『いるかとくじら』。幸せになるために、ひとり息子を置いて街を出ようとした母に、息子のやさしさが胸にせつない『ほほえむまでの時間』ほか。 やさしい涙がこころにしみる12篇の短篇小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
65
普通ってなんだろう…ついつい使ってしまう言葉。その一言でいろんな人を傷つけてしまうこともある。優しさってなんだろう…相手にいつも甘い言葉を囁くことじゃない。時には相手を悲しませるかもしれないけど、ちゃんと向き合って叱ってあげること…それはきっと身を切るように辛い選択かもしれない。甘やかすことの方が楽だものね。でも…本当に相手のことを思ったら…人には相手にもわからせたくない過去をたくさん抱えているんだよね。それを乗り越えたから優しさが滲み出てくるんだよね。大切にしたい人がいるって生きる張りになるね。2016/03/19
汐
58
思い立って読んでみた一冊。個人的には「いるかとくじら」が印象的。いるかとくじらは分類学上、特別な差がありません。でも、やっぱり、くじらはいるかの仲間には入れないのです。障害という個性を持って、彼の世界で生きる亮太。同じ世界に生まれた人の筈なのに、どうしても同じ種類の人としてみてもらうことはできない。パートナーや子供、家族を守ろうとする無邪気な目は、自分の家族を不愉快にするものを排除しようとする目でもあるのだなと思いました。2017/02/20
たらこ
31
どうしようもなく涙が・・・と言う感じではないけど、12話全ていいお話の短編集でした。1話ずつ短いけど完結に心温まる一冊。次は「海」を読みます^^2014/04/12
メルモ
9
「「マツミヤ」最後の客」と「笹山兄弟譚」がよかったです。2014/06/04
ちくわ
7
短編集…ただただ泣かせてくれます。2012/10/18