内容説明
公共事業の実施にあたっては、事業用地の周辺地域にしばしば避けることができない各種の不利益がもたらされることがあります。その一つに、建物の近隣で掘削工事等を実施した場合に、地盤が沈下する等の変動が生じこれが原因で建物の壁やタイルにひび割れ等の損傷等が発生することがあります。発生した損傷等に対しては、原因調査や費用負担額の算定等の事務処理を迅速かつ適正に行う必要があり、このため、中央用地対策連絡協議会(以下「中央用対連」という。)は、昭和61年4月に「公共事業に係る工事の施行に起因する地盤変動により生じた建物等の損害等に係る事務処理要領」を制定しました。一方、この建物の損傷等に係る事務の多くは、補償コンサルタントへの委託が行われており、中央用対連は外部委託する場合の標準的な仕様書として「工損調査標準仕様書(案)」を平成2年3月に定めています。この仕様書(案)の解説書は、平成3年12月に財団法人首都高速道路補償センターから発行されましたが、この度、公共用地補償研究会が本書を引継ぐこととなり、初版以来十数年経過していること等から解説内容の全般的な見直し、事例を近年のものに改める等、新版として発行しました。
目次
第1章 総則
第2章 工損調査等の基本的処理方法
第3章 工損の調査
第4章 費用負担の説明
資料(工損調査標準仕様書(案)
公共事業に係る工事の施行に起因する地盤変動により生じた建物等の損害等に係る事務処理要領
調査書等の作成事例)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かず
12
お仕事本。工損=工事損害の略です。工事によって生じた振動や地盤変動によって影響が生じる可能性のある建物等の調査を補償コンサルタントに委託する際の標準仕様書です。本書発刊以降に地盤変動調査算定要領が改訂されており、また、昨年度末に同要領解説も改訂されたので、本書も改訂版が望まれるところです。とはいえ、基本は大きく変更されておらず、本書でも十分でしょう。私は新品同様の中古を300円で仕入れました。また、逐条解説の末尾に付記された「実務経験者から一言!」コーナーがとても参考になりました。2024/04/26