内容説明
ITと軍事に強いテクニカルライター・井上孝司が現代の軍事作戦に不可欠な“指揮管制”のしくみとこれから本格化する“AIの活用”を解き明かす。
目次
第1部 はじまりは防空システム(C4ISRという言葉;現代の空の警戒監視;第二次世界大戦イギリスの防空システム;防空システムのコンピュータ化;海の上では艦隊防空;地上軍を護る野戦防空)
第2部 指揮所と指揮のシステム化(航空戦の指揮所に関する昔話;空飛ぶ指揮所と地上の指揮所;海軍における旗艦;旗艦に求められる機能;軍鑑の戦闘指揮所;陸戦の指揮と指揮車;陸戦でも、紙の地図からコンピュータへ)
第3部 指揮システムとソフトウェア(指揮管制装置のお仕事;状況図を生成し、共有する;艦載型防空システムのお仕事;個鑑防空と僚艦防空;艦隊防空における脅威評価の考え方;弾道ミサイル防衛で必要となる機能;事前にプログラムするだけで用が足りるのか)
第4部 AIの活用(そもそもAIとは;AIでドッグファイトはできるのか;アルファドッグファイト・トライアルの裏側;AIにどんな使い道があるか;電子戰とAI活用;いわゆる忠実な僚機とAI;指揮管制・意思決定支援AI活用;AIにどこまで任せられるのか)
第5部 変わりゆく作戦概念(領域横断作戦と指揮統制;オペレーションの分散化とJADC2;JADC2という発想が出てきた背景;JADC2を実現する要素いろいろ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
94
もっと恐ろしく進んでるのかと思ってました2025/03/05
SGR
10
Kindleだと少し読みにくかったものの入門としてわかりやすく、実用化に向けてのプロセスが明確でした。2024/05/11
つわぶき
6
指揮統制システムの発生、発展及びこれからの発展、特にAIの活用について述べられた本。WW2における防空指揮を嚆矢とし、時代を経て高度化・高速化が図られていく指揮統制システムは、航空機や誘導弾の発達に伴い、発見識別から意思決定と実行までのサイクルの高速化の必要性に応じて発展した様子が分かり、それは陸海空等の軍種を問わない。また、AIの概要と軍事利用に係る(人間に成り代わるのではなく、補助することに使う)実験の成果を踏まえた、AIの弱点や非万能性についても述べられている。但し、AIは指揮統制の(続く)2023/06/21
F4ふぁんとむ
4
とても面白い。戦争の仕組みが変わってきていることや、言葉だけが一人歩きしているAIについても、それで何を目指しているかがよくわかる。軍事問題だけでなく、一般社会の問題にも十分に適用を考えなければいけないのでは。2023/09/09
ゼロ投資大学
3
AI技術の発展により、戦場へAI兵器が投入され始めている。作戦指揮の分野においても、AIは瞬時に膨大な情報を理解して最適な判断を行えるので、人間では太刀打ちできない懸念が生じている。AIを十全な性能で活かすためには、コンピュータとデータ通信網はしっかり配備する必要がある。2024/08/12