内容説明
海の戦いの歴史の中で、モニターほど単位排水量当りの火力が大きい艦種はほとんど存在しない。モニターは、言ってしまえば、質素な「自走いかだ」に載せられた巨大な艦砲そのものである。第一次世界大戦において、大口径砲による艦砲射撃に対する切羽詰った要請に応えて、瞬く間に設計、建造され、用途は極秘とされて、ごく短時日のうちにその任務が終わると、すっかり忘れ去られてしまった。それでも、両大戦の様々な作戦でこれらの代え難いフネたちは極めて意義深い役割を果たしたのだが、1978年にイアン・バクストンが本書の初版を世に出すまで、海軍史の研究者たちからほとんど顧みられることはなかったのである。2008年に大幅に増補改訂された原著は、今やこの艦種についてのバイブルと言えるものである。原著改版後の調査結果等を部分的に反映したこの翻訳版を、日本の海軍史研究家と軍艦ファンにお届けする。
目次
1 英国海軍モニターの起源
2 14インチ砲モニター
3 12インチ砲モニター
4 最初の15インチ砲モニター
5 元ブラジル河川用モニター
6 元ノルウェー海防戦艦
7 小型モニター
8 第二の15インチ砲モニター
9 最後の15インチ砲モニター
10 モニターの砲熕兵器
11 振り返って
著者等紹介
バクストン,イアン・ライアン[バクストン,イアンライアン] [Buxton,Ian Lyon]
理学士、博士、公認技術者、王立造船学会フェロー。造船学者であり、1974年から2002年までニューカッスル・アポン・タイン大学の海洋工学科において海上輸送コースの准教授を務め、現在でも同大学の客員教授として講義を行っている。世界船舶学会の元会長であり、現在は副会長の任にある。また、北東岸造船造機学会の最後の会長をも務めた。1959年にグラスゴー大学の造船学科を卒業すると同時に、クライド川沿いのダンバートンにあるデニー造船所に入って研鑽を積んだ。1965年以降は英国造船研究協会に所属し、ロンドンとウォールゼンドで、コンピュータを用いた設計や、船舶の技術経済評価についての研究に従事した。ニューカッスルでは、技術と経済の両面を考慮した船舶の設計と運用の関係に関する教育と研究を推し進めた。結婚して2人の子をもうけ、1968年からタインマウスに住んでいる
橋本若路[ハシモトモジ]
『武蔵』や零戦を生んだ企業グループで、「月の船」が見たものを解き明かすソフトウェアを作っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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