出版社内容情報
税務訴訟における第一人者・三木義一弁護士(青山学院大学名誉教授・同大学前学長)による「意見書」に対する東京高等裁判所の奇怪な判断とは?
成年後見制度が絡んだ相続税の「小規模宅地の特例」適用について下された誤った判決を一体誰が糺してくれるのか?
成年後見制度の下で母の生活を支え続けた息子が、相続税の申告に於いて大変重要な「小規模宅地の特例」の適用要件について争った事件の顛末を、イラストを交えて検討・解説した書。税の専門家はもちろん、一般の読者にも分かり易い平易な表現で詳しく説明。
実際の判決文など、裁判記録も多数掲載。
相続人(息子)が被相続人(母)の成年後見人であった事案で相続税の申告に於ける「小規模宅地の特例」の適用を争った事件は、東京高等裁判所の驚くべき珍判決により原告(相続人)の敗訴となりました。
相続人は国に対して、「小規模宅地の特例」適用のための「生計を一(いつ)」要件の有無を争っていたはずでした。
ところが、高裁判決は、「小規模宅地の特例の適用には生計を一かどうかとは関係なく、相続人と被相続人が扶養関係になければならない」とする前代未聞の珍解釈による判決をだしました。
この無茶苦茶な判決が判例となり、今後の「小規模宅地の特例」の適用に悪影響して行くこと、相続人が成年後見制度を使うことを躊躇するようになること、を危惧し、最高裁判所への上告を試みましたが…
目次
第1章 小規模宅地の特例と「生計を一」をめぐる争い―税務調査‐更正処分‐審査請求(事の発端―相続税申告;税務調査;更正処分;審査請求;国税不服審判所裁決―棄却)
第2章 横浜地方裁判所への提訴(「訴状」提出;第1回口頭弁論手続期日;「訴状」に対する国側からの反論;第2回口頭弁論手続期日;成年後見人事案であることの特殊性;第1回弁論準備手続期日;時代遅れともいえる国の「生計を―」の解釈;第2回弁論準備手続期日;第3回弁論準備手続期日;第4回弁論準備手続期日;地裁判決―棄却)
第3章 高等裁判所への控訴(控訴へのプロローグ;私たちの「生計を一」解釈;「控訴理由書」と「答弁書」、それぞれの主張;第1回口頭弁論手続期日;「答弁書」に対する反論;第2回口頭弁論手続期日;高裁判決―控訴棄却;「判決」に見る高裁の理論の検証;扶養が特例適用の要件とは!?)
第4章 最高裁への上告(「上告状兼上告受理申立書」「上告受理申立理由書」の提出;最高裁調書‐上告棄却)
著者等紹介
田中潤[タナカジュン]
税理士。一般社団法人東日本大震災雇用・教育・健康支援機構、理事長。公益社団法人受動喫煙撲滅機構、理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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