出版社内容情報
芳春[ホウシュン]
著・文・その他
内容説明
子供の頃に見た忘れられない街の景色。だが、再び訪れるとそこは墓場で…「景色」、酒蔵が神社に奉納する酒を選ぶ秘儀。酒樽に耳をつけると歌が聞こえてきて…「歌声」、行き止まりの道の先が見えてしまう少年。行って確かめてみたい衝動にかられるが…「行先」、突然家にやってきた従兄。黒子の位置に違和感が…「偽者」、椿柄の着物に異様な執着を持つ女性。祖父の遺品整理でその理由が…「振袖」、幼い頃に人魚を見たという女性。以後恐ろしいことが…「人魚」、錫杖を持った不吉な僧侶の影。父も祖父も僧侶の祟りによって死んだというのだが…「怨環」ほか、魂に深く食い込む珠玉の35話収録!
目次
酩酊
会心
骨喰
景色
隙間
監視
順番
運命
告白
無知〔ほか〕
著者等紹介
芳春[ホウシュン]
柴犬愛好家。大学時代に民俗学を齧り、フィールドワークで各地の伝承や風習を聞いて回ったことがきっかけで怪談蒐集に興味を持つようになる。以来前向きに生きる為の糧になるような、不思議な実話を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
流之助
11
最後の話が好き。夢のような美しい場所。羨ましいと思った。あとは、自分に咎がないことで責め苛まれる気持ち悪さも良かった。2024/01/02
qoop
6
初の単著とは思えないほど手慣れた感のある一冊。ここまで書き手が飽和状態だと、実話怪談作家として単著デビューを果たす方のレベルは相当高くなっているのが良く分かる。良く出来た話だと感じるほど収まりのいい〈会心〉、三ノ宮をレトロにしたような…という描写のリアルさがたまらない〈景色〉、お手本のように実話の手触りを強く伝えるUMA遭遇譚〈腐臭〉、民話の原型を思わせる〈晦日〉などが印象に残る。2022/09/02
misui
3
美意識を感じるドラマティックな怪談。存在しない人や場所が現実に影響するいくつかの話が好きです。トワイライトゾーンみたいな。2023/04/25
TNdler
2
幻想的な短編小説のような怪談が多くて好みだった。「運命」「幻視」「人魚」が特に好き。25日が水曜日にある寒い時期の月に要注意ってほんとかいな?2023/05/25