出版社内容情報
厭ミスならぬ厭怪談。怨念、悪意うずまくどろりとした怪談を書かせたら右に出るものはいない唯一無二のつくね怪談!
内容説明
平和な日常と家庭を突如襲う理不尽な怪。或いはどす黒い情念の花が咲く因果応報の怪。圧倒的な忌まわしさと絶望感が胸を抉るつくね乱蔵の人気実話怪談“厭”シリーズ最新作。原因不明の頭痛に悩まされる男。友人は、二週間前に行った心霊スポットが原因だと言うのだが、そんな記憶は…「何も分からない」、子宝に恵まれぬ兄嫁を心配した妹は子授け祈願すら受けられぬ自らの一族の秘密を知る…「長男の嫁」、隣家との境界線に埋められた肉片の詰まったウサギのぬいぐるみ。やがて凶事が…「ぬいぐるみの肉」他、闇が闇を呼ぶ怒濤の37話!
著者等紹介
つくね乱蔵[ツクネランゾウ]
福井県出身。第2回プチぶんPetio賞受賞。実話怪談大会「超‐1/2007年度大会」で才能を見いだされデビュー。内臓を素手で掻き回す如き厭な怪談を書かせたら右に出る者はいない(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
253
本書の題名「厭還」の還は著者が還暦を迎えた事にちなんだようなのですが、うーん、今回は少しいつもより落ち着いた地味な印象で毒も少なく感じましたね。これまであらゆるパターンの実話怪談を書かれて来たベテランの方ですから偶にはこういう事もあるでしょう。決して悪くはなく微妙な感じで、まあ心配しなくても大丈夫だと信じていますので今後の作品を注目して読んで行きたいですね。『蛇叔母』栄子叔母さんは五十二歳になるが未だに独身で若い頃から両親の面倒を看て来た。父は作業現場の事故で下半身が麻痺し、母は眼病が悪化して失明に至る。2021/06/05
HANA
62
実話怪談集。安定の出来というか、どの話も嫌な感じが満ち満ちていて実に満足。この淡々と送る日常の中に不意に陥穽が開いたような読み心地こそ怪談でありますなあ。人は何もわからないうちにそこに落ち込んでいくこの感じ。特にその感じが強いのが「その時は近い」当人に非は無いのに何かに巻き込まれる理不尽さが堪らない。他にも何かが進行しているにも関わらずそれが何かわからないという怪談の至極「ぬいぐるみの肉」や「名前を付ける」等も実に嫌でいい。人間の嫌さは「クラウドファンディング」や「最高の娯楽」があるし。ああ、実に嫌だ。2020/02/20
澤水月
16
さすが厭怪談の泰斗、一読、厭な気持ちになる話が多い2020/01/04
さりぃ
13
#恐怖箱 厭還 #つくね乱蔵 KindleUnlimitedで読了。 結構怖いのが多かった。しょっぱなの、 『何もわからない』がすでにかなり怖く、 『二十年目の私』『午前二時の老人』『長男の嫁』 『赤いタオル』『本音と建前』『左手』 『総員撤収』『グラス割り放題』『そのときは近い』 『破棄される部屋』『山の人』 辺りはそうとう怖めのものもあり、秀逸。2020/04/30
佐倉
11
『聞コエル怪談』の試し読みや『人形の怖い話』でつくね乱蔵氏のことを知って購入。怪談というのは語る当人にとっては幽霊や呪いとしか思えない事態をモチーフにするもの。しかしそれが単なる偶然や人為によるものだとしても、それ対する語り手の反応自体に怖さがある、というタイプの作品がいくつかあって気持ち悪かった。印象的だったのは呪いによる復讐から怒りに取り憑かれていく『クラウドファンディング』、当人たちにとっては美談かもだが周囲から見れば醜悪としか言いようのない『長男の嫁』、過去の思い出が軽蔑へと繋がる『旅の思い出』2023/07/03