内容説明
「超」怖い話シリーズの最古参メンバーにして、現・四代目編著者。そして、恐怖箱アンソロジーの箱詰め職人(編者)として活躍する加藤一が年に一度、孤独に書き下ろす実話怪談―それが「忌」怖い話である。体験者から託された曰くつきの話や、長きにわたって追いかけている怪奇事件、妖怪や不思議系の話など、この世で目撃されたありとあらゆる異分子が恐怖とともに詰め込まれている。満月の晩にだけやってくる少女の怪「満月の夕べ」、水をあげ続けねばならない人形の恐怖「命の水」、新興宗教のアジトに遺されていた意外なものとは…「祈り篤き所に神は宿る」ほか、状況証拠も生々しい戦慄の実話怪談を収録!
目次
お仕事大変ですね
常識的な
ナイトクルーズ
寝相
工場見学
祈り篤き所に神は宿る
目と目で通じ合う
内房線
夜景の前景
東京タワー〔ほか〕
著者等紹介
加藤一[カトウハジメ]
1967年静岡県生まれ。人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』四代目編著者として、冬版を担当。また新人発掘を目的とした実話怪談コンテスト「超‐1」を企画主宰、そこから生まれた新レーベル『恐怖箱』シリーズの箱詰め職人(編者)としても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
221
加藤一さんも割合にすっとぼけた訳のわからない話がお好きな方だなと見えますね。濃厚でなく薄味の、一体あれは何だったんだろうね?という感じの作品集で、まあどうやら深刻な結末ではないらしいと読む前から安心出来てお気楽で心配は無用ですので読み易いとは言えるでしょうね。でも『てくてく、スタスタ、とことこ』という足音の怪異3題はあまりにも人を食っておちょくられているみたいな気になりますから正直言って勘弁して欲しいですね。『猫の溝』は猫嫌いのマンションの管理人が猫を大量に殺した報いを受けて病気で亡くなる猫が痛ましい話。2021/02/28
澤水月
24
昔懐かしい感じ。昭和生まれには気が遠くなるほど、考えもつかないほど悲惨な大事故の現場を「行きやすくなった心霊スポット」として凸る話は驚いたが現代っ子にはそういうものか…。また別の昭和の大事件絡む話もあり、色々感慨深く。超怖って昭和から平成っ子?の共有怪談になるんだなあ2018/05/30
ネムコ
22
一話一話がいろんな味のボンボンみたい。怖い話というけれど、体験の何を怖いと思うかは人によって違う、その妙味。2018/11/20
qoop
7
著者曰く〈大変奥ゆかしい怪談〉を集めたという本書は、分かり易い恐怖を志向せずに捉え難い肌触りを伝えようとする試みか。紗の向こうに広がる幽けき世界を垣間見るかのような手応えは、頼りないようでありながら逃れられない何者かの影と直面させられるかのよう。ただそれはあくまでも影なのだ。影の大元が何かあるのだろうが曖昧でもどかしい。その最たるものは〈寿部屋〉や〈デスベルト〉だろう。ある意味でこのもどかしさこそ怪異の本質なのかも知れないと思わせられた。2018/05/28
buchi
4
端書きに「奥ゆかしい怪談」ってあるけど、結構バッチリ出てる。 異教徒の札「祈り篤き所に神は宿る」、糸をブチる「打ち直し」、アレなエピソード知りたい「川と子供と坊主と苗木」。理由不明の「石」や「何が足りなかったのか」がモヤモヤしてていいな。 夜、風邪の引き始めで苦しいなと思いながら読んでたら、喉から喘鳴で犬を一瞬で戦闘態勢にさせるほど猫の声にそっくりの音がして怖かった。2018/10/15