内容説明
冬の「超」怖い話の執筆メンバーの一人として滋味深い怪談を書き続ける渡部正和。衝撃の単著デビュー作『鬼市』から四年、さらなる恐怖を詰め込んだ待望の第二弾が届けられた。夜道で拾った爪切りから始まる戦慄体験「切ってください」、とある川に纏わる因果「殱悔」、貸しアパートの奇妙な住人たちの正体…「侵食」ほか、ある時はじわじわと内臓を締め上げ、またある時は最後の最後でざっと冷水を浴びせるような恐怖が次々と襲い来る。一度読んだら忘れられない怪異譚全22話、じっくりどっぷりご堪能いただきたい。
目次
さくらさくら
エンゼルセット
切ってください
匙
赤口
トランク
都会嫌い
映画鑑賞の集い
親分
くまん
こんなはずじゃなかった
思慕の情
ストーカー
カブト狩り
生命反応なし!
清流
波涛
外道
コマセ
ミキさん
侵食
懺悔
著者等紹介
渡部正和[ワタナベマサカズ]
山形県出身。2010年より冬の「超」怖い話執筆メンバーになる。2013年、『「超」怖い話鬼市』にて単著デビュー。その他、「恐怖箱」レーベルのアンソロジーでも活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
135
怪しい不動産会社のネタを十八番とする著者の真骨頂で読めば誰もが気が狂ってしまいそうに思える不気味な一編です。『映画鑑賞の集い』池田君は里見不動産で紹介されたアパートに引っ越してから一週間後に近くの新聞屋に教えられその建物が廃墟同然で自分しか住んでいない事に気づく。ある日の朝彼は集合ポスト横に「映画鑑賞の集い 於203号室 初参加、大歓迎!」と日付と23時よりと手書きで書かれた張り紙を見つけ当日行くと真っ暗な部屋に小さな白黒TVでアメリカ映画が上映され終了後に電気を付けると誰もおらずTVの画面も割れていた。2020/08/13
HANA
58
実話怪談集。不動産怪談と釣り人怪談が多く収められている。双方とも好きなジャンルなので、そこの部分は満足。ただ一話一話の分量が長く、奇妙な話が突き抜けているような話もある気もする。因果を無視した奇妙な味の怪談は嵌ると実に嫌な気分になれるけど、加減を誤ると取り留めの無い話になったり何が何やらわからない話になったりするのだな。本作にもそんな話がちらほらと。かそけさを醸し出したり読者を嫌な気分に浸らせるというのは、匙加減が難しいものであるなあ。「くまん」とか上手い話も多々あるけど、そのような話がどうも気になって。2017/12/01
澤水月
23
「思慕の情」は叙情と思いきや妖しくもあり良かった。前巻前半のように釣り怪談が多く入っている部分も情景浮かびいい。それ以外だと急に描写や主語述語とか位置関係おかしくなる気が…テコでも動かない人物を引きずり出し自分の家に連れていくのに「後をついてきた」とか等。あるテーマで接点あるシリーズ的なものはどうも正直創作臭が、、、得意・好きで血肉から書けるもの(それこそ釣りとか)で纏めた方が文の乱れも減るのではないか、あとは締め切りとの兼ね合いなのだろうけれど…2017/08/31
qoop
9
ある不動産屋に関する住まいの怪談が中心ということだが、掌編集の多いこのレーベルにしては長めの作品が多いせいか、良い意味で印象が固まらない。怪異を扱う不動産屋という時点で相当フィクショナルなので、印象を散らすのはアリだと思う。ただ一編を長くすることで、逆に描写が創作的なニュアンスを強く帯びる点も否めず、もしトレードオフだとしたら分がわるいのではないか、とも。2017/09/11
王天上
7
アパートでの映画鑑賞会の話が地味でいい味出してた。2017/12/12