内容説明
語り部たちの話を書きまとめる、怪談社の書記・伊計翼による“百物語”シリーズファイナル。トンネルで遭遇した凄絶な怪異(第16話)、怪談番組ロケで起きた現象とは(第49話)、捨てることができない手紙の奇跡(第67話)、長屋の部屋で見つけたのは恐怖の欠片(98話)など―怒濤の九十九話が貴方に常夜の戦慄を体験させる。
著者等紹介
伊計翼[イケイタスク]
怪談を集める団体「怪談社」に所属している書記(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
151
怪談社・書記の伊計翼さんの百物語は珍しく題名がない第何話と書かれただけの作品集なのですが、何が出て来るのか推測できない楽しみが逆に新鮮でワクワクして内容も恐怖度もバッチリで大満足の完璧な一冊でしたね。42.都内のある電鉄会社では不可解にもホームで自殺があるのは清掃のある日と決まっている。96.M尾さんが叔父から電話で「父親の一周忌くらい帰ってやれ」と言われ田舎に帰省すると母が湯呑みを4つ用意しており「叔父さんも父さんも来てリビングで待っているからアンタもオイデ」と言う。「えっ、今のは、どういう意味だ? 」2020/11/01
HANA
55
実話怪談集。この著者は普段怪談話を主な活動分野としているせいか、文章においても最後の一行でオチを付けるような話が多い。二十六話みたいにそれが上手い事嵌っている場合はこの上ない効果を上げているんだけど、ちょっと上手すぎて作り物めいた感じを受けないでもない。でもそのせいか、怖い中にも独特の諧謔味を湛えているような気もする。著者お得意の随筆怪談が好きだからそう感じるのかなあ。シリーズもこれが最終作という事なのであるが、新しいシリーズに向けて頑張ってもらいたいものである。独特の味を持った怪談作家って貴重ですし。2017/07/11
ラルル
21
いいですね~。型から少し外れたラストが良いです。怪談本を沢山読んでいると大体の展開を予想出来てしまうんですが、この本は「そう来たか!」が多くて楽しかったです2017/11/20
澤水月
21
平成のいつに起きたという形式、一瞬西暦に変換しづらいのが奏功、あのことの話か!と得心多々。会話の応酬の中に魔が紛れる話、生まれる子になされた予言は…な話は最後の一文が鮮やか。当初が信じられないほど文章が良く。山の猫は横柄で素敵。75、おばちゃんとジュース…怖いのに懐かしい叙情がよく書き留められ単独でも発表可能文学。全体に様々な文体を駆使し嫌味でない。素晴らしい2017/07/03
柊よつか
15
伊計さんの百物語。シリーズがこれで一旦区切りというのは寂しく思える。各話に題をつけずに「平成(或いは昭和)何年」と切り出す形式が、過不足なく心地好かったのだと改めて思う。特に印象的な話を。ストレートな憤りが身近でゾッとするススキノの第四話。山岳遭難ルポを読む者として「ああ…」と思う第六話。あちら側からの目線におののく第二十七話。火の玉に希望が湧く第三十七話。捌け口を間違えたが故の報い、第五十話。揺れる前に地から沸く何か、第六十話と六十一話。情緒と怪奇の織り交ざった第七十五話、九十八話、九十九話。2017/07/05