内容説明
安藤君平、樋口明雄と受け継がれてきた編著者のバトンがついに平山夢明(デルモンテ平山)に託された。就任後初の前書きで平山はこう記す―人の恐怖は指紋の数ほどあるが、このシリーズが目指すのは限りなく幻想に近く、我々の社会が守っていると信じている垣根を易々と飛び越えて侵入してくる“ものたち”の話である。不確かでありながら確かに存在するもの、常識を突き崩す実在の恐怖を鋭く追究した中期の傑作が甦る全集第四弾!
著者等紹介
平山夢明[ヒラヤマユメアキ]
神奈川県川崎市生まれ。学生時代はホラー映画の自主制作に没頭した。一方「デルモンテ平山」名義で雑誌『週刊プレイボーイ』でビデオ評論を手がける。1993年『新「超」怖い話』より本格的な執筆活動を開始。1996年『SINKER 沈むもの』で小説家デビュー。2006年、短編「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞短編賞、2010年『DINER』で日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
56
実話怪談集。相変わらず珠玉の作品が揃っているが、「栄光の手」とか「雨」とかは古典怪談が下敷きになってるような気がしないでもない。あと現在の目から見れば原点とも言うべき話も多いけど、著者の筆力にかかればそれがとんでもない輝きを秘めている事がわかるなあ。どれもこれも良かったが、白眉は後書き。当時の取材秘話から実話怪談本を作るポイント、実話怪談への思い等、現在の平山夢明の実話怪談に対する想いが全て詰め込まれていると言っても過言では無い。特に当時の実話怪談の地位の低さとそれに向かい合う姿勢に、兎に角脱帽でした。2016/11/03
ach¡
35
何がスゲーって夢しゃんの剛胆ですよ!怪を漁る日々…つぅ最後のエッセーがもう…超絶ビビりの私からしたらキ◯ガイの沙汰ですぜ。同じホモ・サピエンスとは到底思えない肝っ玉の据わりよう。これから好きな男性のタイプは!?って聞かれたら平山夢明ぐらい肝っ玉の据わった人♡て言おうかな(*´Д`*)いや、でもやっぱスタローンの肝っ玉には敵うまい。なんたって1人で軍隊相手にゲリラ戦を…(割愛)私なんてキャン玉どころか肝っ玉も持ち合わせないんで、この本怖全集の話ぜーんぶフィクションと思って読んでますから!実話だなんて絶対無理2016/12/15
澤水月
35
未見だが発表後TV再現で取り上げられた「経の面」、映画業界の舞台裏も見え傑作。アメリカでの体験「栄光の手」、アフリカの仏など海外ものも当時斬新でも忘れがたい。後書きは「読み物」としての実話怪談についてかねがね語っている覚悟が見える(安易なライブ怪談への皮肉もチラリ)。身を削って書かれたことがよく分かる。文体が確立され後のダイナーなどの登場人物のような軽妙トッポい喋りをしてて怪談なのにかっこいい。当時から応援し続け今。いろんな意味で涙2016/10/24
鬼灯の金魚草
26
既読もあり、初めての話もありで楽しかった。2017/07/08
やんも
19
数行で終わる掌編怪談は、この頃から始まっていたのかと驚く1997年の平山オヤブン(さすがにキレは現在のほうがよいですが)。感動したのは巻末のエッセイ。実話怪談作家(編集者)として開眼すべく、事故現場をまわり、樹海へ何度も単身泊まり込む無謀な真剣さ。だからこそ読者に斬りこんでくるような怪談をものし、後進の作家たちを見いだせてこれたのかと感心しきりであった。思うに、平山オヤブンは果敢に突っ込んで怪談を鷲掴みにするタイプなのだろう。2016/10/29