出版社内容情報
平山夢明プロデュース・FKBシリーズに、我妻俊樹が登場!!
内容説明
奇妙で不可思議、そしてじんわりと迫る闇と怪。独自の怪談を紡ぎ続ける我妻俊樹の新シリーズ第一弾。夜中に突然泊まりにきた友人の不可解な話と衝撃の事実「イキシチニヒ」、バイト先のコンビニによく来る美人女性、ある夜道端で会ったら汚れた花瓶を渡そうとしてくる…「花瓶」、乗り合わせたタクシー運転手の奇妙な独白「カリントウ」、雪道に倒れている人を見つけたら…「雪案山子」、大学へのバスに乗り込んでくるお面をかぶった老人の謎を明かそうとする「面の歪み」など67編。
目次
514
ある祭
イキシチニヒ
いずれ殺す男
ザンヌキ
ハウツー・サックス
ほうたいをまいたいぬ
めがり屋
ラーメン
ラジカセ〔ほか〕
著者等紹介
我妻俊樹[アガツマトシキ]
歌人。怪談作家。2005年、第三回ビーケーワン怪談大賞で大賞受賞。短歌や創作怪談というジャンルで日常と非日常のあわいにある恐怖を作品化する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
141
これは相当に、いかれた、けったいな、ぶっ壊れた、そんな馬鹿な、こんな事があってたまるか!と思わず叫びたくなる様な話が目一杯詰まった一冊ですので読むにはかなりの覚悟が必要ですよ。でも読み始めたら段々と慣れて来て「もう何でもいいから、どんと来い!」という気持ちになって大いに楽しめるでしょう。『空気』喫茶店に行くと客として認識されず無視され、霊感の強い女性に幽霊と勘違いされ、お婆さんにお経を読まれたという誠に可哀想で悲惨な男の話。『ラジカセ』地下街の通路を歩いていると道に古い大きなラジカセが8台も置いてあった。2020/10/31
HANA
49
実話怪談集。一瞬世界が歪んだ時、垣間見える何かを描いたような作品ばかり。収録されているのは最近の実話怪談に多い直接怪異を描くのではなく奇妙な出来事を記した話ばかりなのだが、凡百の実話怪談と本書を隔てるのは何と言っても文章の力。読んでいてはっとなる文章とか急に寒気がする文章、得体のしれない文脈とかは、普段本を読んでいてもなかなか見る事が出来ない。終わり方がどことなく百鬼園先生を連想させる話もあり、かといえば妙に生々しい話もあり、この裾野の広がりが一段と魅力的なような。マイベストは「不味いおはぎ」「天使」。2015/04/17
matfalcon
47
いちいち具体的な怪談には、アルアル不条理が、アル。逆に言えば、言葉尻を捕らえよう感炸裂の警官二人を前にした証言みたいに、妙に理路整然とした怪談にはリアリティがない、ことが改めて知らされる一冊。テレビで怪談を見て、真夏に布団を頭からかぶって汗みずくになった無垢なオレがいとおしい。2017/08/17
ラルル
29
ガツンと殴られるような怪談ではなく、怪我した小指が膿んで来るようなジワっと来る怪談。2015/05/19
澤水月
15
いつにも増して濃密不可解、大好き! ふたり怪談で「6行怪談」でデビューした黒木あるじ氏に挑むように3行怪談披露し驚いたが本書に2行怪談! 突き詰めると本業の歌になるか? 夢野久作・猟奇歌ばりの読めそう。平山テイストのようでまた全然違う、悪夢幻想文学風合いは内田百ケン的だが独自性強く我妻怪談できており、短い方がより際立つ。「天使」怖いがそんな検索するなと笑ってしまう。読んでる時コップの氷に不思議なことあり読了して冷や汗…2015/03/06