内容説明
歴史の荒波に翻弄されながらも連綿と続いた1300年の歩みを、丹念な調査研究により振り返り、五十六億七千万年後弥勒下生の未来を照射する。同地に生を受けた著者による、景勝地・笠置の詳細な解説も魅力。
目次
天人降りて弥勒の石像を彫る―笠置寺草創の謎
兜率天への神秘の入り口―千手窟
弥勒の霊場として発展する笠置寺
南都から貞慶入山し、寺の整備大いに進む
元弘の役で笠置寺炎上、弥勒像その姿を隠す
江戸時代、衰亡に向かう笠置寺。だが法灯は連綿と続く
丈英入山し、無住の寺を再興する
南朝の遺跡として関心を集める笠置寺
終戦から現代へ、そして五十六億七千万年先へ
笠置山歳時記〔ほか〕
著者等紹介
小林義亮[コバヤシギリョウ]
昭和14年(1939)1月京都府生まれ。大阪大学法学部卒。昭和37年(1962)4月大和銀行(現りそな銀行)入行。平成5年(1993)4月東京審査部長を最後に同行を退職し、同行関係会社役員に就任。平成11年(1999)1月60歳の誕生日を待ち関係会社役員を退任。以後、笠置寺関係の研究に専念する。平成23年(2011)6月社団法人日本山岳会常務理事就任。平成25年(2013)6月同会公益社団法人に改組後常務理事退任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
12
笠置寺の寺族に産まれ、長年銀行マンとして活躍した著者による、同寺の通史である。7世紀に創建され、弥勒信仰の聖地であり、山岳修験の道場でもあった笠置寺は、元弘の変で本尊の摩崖弥勒菩薩立像を失い、時代とともに、衰微した。幕末から明治にかけて一時は無住になるほどであった。その後、南朝顕彰により、寺運はやや盛り返すと言う波乱の歴史を辿っている。後醍醐帝の笠置脱出路の実地踏査や後半に描かれる山寺の自然と生活は、ぜひ、訪れたいと思うほどの魅力に満ちている。笠置町って山梨県早川町の次に人口の少ない町になっていたのね。2020/04/23
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