内容説明
2021年、夏。オリンピック開催に沸く東京の路上で、ホームレス生活を始めた。炊き出しの行列、空き缶集め、個性的な人々との出会い。外からは見えないリアルな暮らしが、そこにはあった。
目次
1章 東京西部編(ホームレス生活初日;同棲生活が始まる;衣服と生活用品の配給 ほか)
2章 東京東部編(上野駅前で寝床探し;手配師が私を惨めにさせる;上野のホームレスは手癖が悪い ほか)
3章 河川敷編(教会の小遣いでテントを買う;空き缶拾いで生きる;五輪より少年野球が怖い;何も知らないおとなりさん;台風十四号が河川敷を襲う)
著者等紹介
國友公司[クニトモコウジ]
1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライター活動を始める。水商売のアルバイトと東南アジアでの沈没に時間を費やし7年間かけて大学を卒業。2018年、西成のドヤ街で生活した日々を綴った『ルポ西成―七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
98
読む前はとても深刻な内容だと思っていた。著者がホームレスとしてその生活を体験し過酷な実態に驚く、そんな内容だと。しかしホームレスといっても様々なスタイルがあること、生活を通してホームレスの知恵や考え方が考えていた以上にしっかりしていることも知った。毎日ボロボロの生活をしている人も当然いるだろう。しかし不謹慎だがそんなに深刻さを感じさせない人たちもいるようだ。家のローンやリストラに怯えながら生活している人とどちらか幸せかを天秤にかけてみると・・・若者へ、強盗殺人の度胸があればホームレスを体験してはどうかな。2024/11/10
読特
40
冬より夏がつらい。防寒服や用具は寄付でもらえる。一日七食の炊き出しツアー。食に困ることはない。宗教の研修に行けば1500円もらえる。小銭を稼ぐ口はそこそこある。ただ、そこまでする必要もない。生活保護で家賃払うより、贅沢ができる。天敵は歯痛。無保険での治療は万単位でかかる。台風浸水は命の危機。危ないと思ったときはもう遅い。早目の避難。臭いがつくのは避けられない。たまのシャワーで水が黒ずむ。…思ったよりも悲惨でない、傍でみるほど楽でない。一生知らずに済ませたい。でも、ちょっと覗いてみたい世界がそこにあった。2024/12/19
シンプルねこ(うみねこ)
11
どんな場所で生きるにもコミュ力は必要。それと、情報強者は強い。いろいろと知らない事を知れてすごく勉強になった。他のルポも読む予定。2024/11/06
lily
10
『ルポ西成』で日雇い労働に従事した著者が、今度は2か月間のホームレス生活を送る日々を綴る。この手の本は何といっても大先輩の増田明利シリーズで読みつくした感があるが、未登記物件の問題、居住実態がない場合に至る職権消除や住民票がない場合の現況届による年金受給などは初耳であった。ボランティア団体の尽力で東京では炊き出しの選り好みが出来るレベルで、飢えることはないのはよくわかった。それにしても、こうした本がセブンイレブンの新書コーナーで並べられているあたり考えさせられる。下を見て落ち着く気持ちというのだろうか…。2023/12/09
たかぴ
9
精神的に病んで自殺するくらいなら、路上生活でもしてむしろ快適に暮らすことが出来そうということがインプットされた。生活しやすい場所を選ぶ。2023/07/08