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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
62
全15の作品はそれぞれの持ち味が面白い。印象的だったのは芥川龍之介の「お富の貞操」。べらんめい口調と相まって小気味良い短編だ。しみじみと最後の場面のなんと映像的なこと!2024/08/31
アナーキー靴下
61
文豪の作品を猫テーマなアンソロジーで味見できるとは魅力的、と惹かれつつ、お気に入りの方の感想には「猫好きにはオススメできません」と。それでも怖いもの見たさでつい。結果、覚悟を決めて読むことができたので、それなりに楽しめた。しかし愛猫看取り話な内田百閒の「クルやお前か」を朝の通勤電車で読んだのは大失敗(号泣もの)。梶井基次郎は命とか実在に凄く鋭い感性を持っているのだろうと思うけれど、ほぼ変態だから猫を巻き込まないで欲しい、対象が人間のほうが読むにはよっぽどマシ、と猫>人間な自分を再認識させてくれた。2021/02/02
キジネコ
57
止めておけば良いのに ついつい手を出してしまう猫話。のっけが百閒先生。「のらや」じゃないからと油断して緩んでしまう涙腺に、とほほ〰の始り始りなのです。15家の猫。出色は龍之介さんで、程と合口の良さは徳富蘆花殿。猫への執着は読者も含めて一種呪術めいて、素粒子の旅程の何処かで結んだ因縁因果を思う程々に説明が難儀。基次郎さんには冷や冷やさせられるし、大家の風格に流石と唸る漱石大先生。某と某には思わずむかっ腹と目くじら立てる大人げなさにはっと苦笑い。斯くして猫への愛着は幸甚なる祟りへと昇華するのであった〰のです。2020/04/21
yumiha
46
たとえ文豪の名作(かしらん?)といえども猫好きにはオススメできません。愛猫家の内田百閒や佐藤春夫は、死にゆく飼い猫の姿を描いているし(猫に冷淡な夏目漱石も)、そうでない(と思われる)梶井基次郎などは、見せびらかすが如くむごい描写を連ねております。徳富蘆花と葉山嘉樹は、猫の獲ったスズメを横取りして、自分の腹へおさめようとするのです。ファンタジックホラーな海野十三や萩原朔太郎にしても、哀れな猫の姿・・・。編纂された彩図社は、猫好きによる購買を狙っていたのだとしたら、大外れでございます。2020/09/16
ちえ
44
少しずつ読んでいた猫の短編集。知っている話も初読もあり。「猫と蟻と犬」の猫の扱いと蟻への執着、「小猫」の溺愛ぶり、「猫の争奪」のおかしさににやり。宮沢賢治の「猫の事務所」は絵本で読みたかった本なんだけど、そうかこういう話だったのか。2020/03/15