内容説明
切りひらけ、香港/映画の境界を。1980~90年代、香港映画の黄金期を支えた監督たちは、曖昧で流動的な境界線に囲まれた香港に何を見、何を託したのか。父と子、監督と俳優、見るものと見られるもの、内と外、虚構と現実―さまざまな二項対立を打ち破る混乱状態と戯れることによって祝祭的な映画空間を作り上げた、ジャッキー・チェン、ツイ・ハーク、ジョニー・トーという三人の映画人の軌跡を手がかりに解き明かす、香港映画史のダイナミクス。
目次
序章 香港映画はどこにある
第1部 ジャッキー・チェン(父と子、監督と俳優―「拳」シリーズにおける転倒;ハードボディから離れて―ジャッキー・チェンのスター・イメージにおけるハリウッド;肉体と形象の境界線―落下するジャッキー・チェンの身体性)
第2部 ツイ・ハーク(無秩序の映画―初期三作品における境界線の主題;演じる監督―シネマシティとツイ・ハーク;人間と動物の境界線―『ブレード/刀』における女性の声)
第3部 ジョニー・トー(中国の風景をめぐって―『謎めいた事件』における中国性;父と監督の権威をとり戻す―ジョニー・トーのファミリー・メロドラマ;規範と遊戯の境界線―『ヒーロー・ネバー・ダイ』におけるセクシュアリティ)
結論
著者等紹介
雑賀広海[サイカヒロミ]
1990年、高知県に生まれる。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、日本学術振興会特別研究員PD。専攻、映画研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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