内容説明
先例のない異星人の物語を書いたC=I・ドゥフォントネー、惑星間コミュニケーションを試みたシャルル・クロ、目的なき革命/運行を夢想するオーギュスト・ブランキ、火星人の霊魂に憑依された霊媒エレーヌ・スミスとその観察者フルールノワ…。ユートピア文学の残骸とSFの予兆のあいだで引き裂かれた時代において、異星人という“不可能なイメージ”を描いた者たちの夢の軌跡をたどる異色の試み。
目次
序章 SFの前史とそのノイズ
第1章 絶対と相対のあいだ―一九世紀フランス語圏の異星人表象
第2章 C=I・ドゥフォントネー―“本当らしく”ないが科学的な夢をめぐって
第3章 シャルル・クロ、あるいは翻訳される身体
第4章 星々は夢を見ない―オーギュスト・ブランキと革命的時間錯誤
第5章 火星人にさよなら―エレーヌ・スミスは科学にどのような夢を見せたか
終章 別の夢を見るために
著者等紹介
鈴木雅雄[スズキマサオ]
1962年、東京生まれ。東京大学大学院地域文化研究科博士課程満期退学。現在、早稲田大学教授。専攻、シュルレアリスム研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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qoop
5
19世紀ヨーロッパの文化的要請として、科学と宗教の中から生まれた宇宙人への関心。それ自体も大いに興味深い題材なのだが、それを横目に本書で扱うのは、同時代の問題領域を共有せずに自己の問題意識から宇宙人を追求し、時代の問題意識を歪に拡大する/遠ざかっていく人々。要するに本書は、新しいイメージが膾炙するにつれ、イメージを生み出した背景をカットして(むしろ)自己(こそ)を敷衍していくスピード感に驚かされる、ということなのだろうな、と。2022/12/14
毒モナカジャンボ
0
「順張り」でも「逆張り」でもない、「何張り?」の人々。「抵抗」では決して持ち得ない力があるんじゃねえかなぁと思ったりする。2024/07/01
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