内容説明
資本主義の発展からとり残され、文明から遠く離れたブラジル北東部の奥地。搾取に喘ぐ牛飼いとその一家は、干魃により土地を追われ、焼けつくような太陽のもと、荒野へと歩みを進めるのだが…。沈黙の世界に住まう登場人物たちの孤独と渇きを巧みに描きだす、ブラジル・モデルニズモを代表する作家の心理小説。
著者等紹介
ハーモス,グラシリアノ[ハーモス,グラシリアノ] [Ramos,Graciliano]
1892年、ブラジル北東部地方アラゴアス州の内陸の町に生まれ、1953年リオ・デ・ジャネイロで没した。ブラジル・モデルニズモの第二期の代表的な小説家のひとり
高橋都彦[タカハシクニヒコ]
1943年、東京都に生まれる。東京外国語大学大学院外国語研究科(ロマンス系言語専攻)修士課程修了。拓殖大学名誉教授。専攻、ポルトガル語学・文学。主な訳書に、フェルナンド・ペソア『不安の書』(新思索社、2007年/彩流社、2019年、これによりポルトガル大使館ロドリゲス通事賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中海
2
ブラジルの北の方は最も貧しい地域のようで、理由は干ばつ、そして洪水があり、現代でこそダムとか排水設備、JICAなどが発達しているだろうが、多分100年くらい前の話で。いい意味で日本は単一民族で意思の疎通団結があって、なんとなくあの時代からまとまれてたんだろうけど、向こうは植民されてたし、地形とかによって民族のアイデンティティが違ったり、弱肉強食が全面肯定されていたようなそんなような暗示がしました。2022/07/19
イコ
0
貧困の底にいる牛飼いとその一家の物語。虐げられる側を書くのがうまくて辛い、殺意その結果への想像力も雄弁に語り、アレは思いとどまって良かったな。2023/01/21