目次
序論 美学、この不純なる領域
第1部 崇高(カタストロフと崇高;戦後アメリカ美術と「崇高」―ロバート・ローゼンブラムの戦略;感性的対象としての数―カント、宮島達男、池田亮司)
第2部 関係(ハイブリッドな関係性;ソーシャル・プラクティスをめぐる理論の現状―社会的転回、パフォーマンス的転回;リレーショナル・アートをめぐる不和―ジャック・ランシエールとニコラ・ブリオー)
第3部 生命(生成と消滅の秩序;生きているとはどういうことか―ボリス・グロイスにおける生の哲学;第一哲学としての美学―グレアム・ハーマンの存在論)
著者等紹介
星野太[ホシノフトシ]
1983年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は美学、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
3
ふむ2023/06/09
らむだ
2
美学とは何か。という問いに対し原理的に定義や歴史を示すのではなく、美学がいかなる実践(プラクティス)であるのかということを著者がこれまでに著した複数のテクストを束ね示した一冊。 崇高・関係・生命という大テーマのもと、九つのテクストで構成されている。2023/09/19
令和の殉教者
0
美学とは何か。この問いに、原理的ではない形で、つまり、著者が発表してきた9つのテクストを「崇高」「関係」「生命」というテーマで集めるという形で答えるもの。そこから見えてくるのは、「美」「芸術」の領域が後退し、「感性の学」としての美学の側面が強さを増している状況である。興味を持ったのは、ランシエールとブリオーの論争をアルチュセールの「出会いの唯物論」のアイデアでまとめ上げた第6章と、ボリス・グロイスの生の哲学を描く第8章。特に後者の、生きているという事実に他者の眼差しによる保証が必要というアイデアが面白い。2022/10/16
Skel_san
0
リレーショナル・アートやオブジェクト指向存在論について理解したいと思っていた自分にぴったりだった。前提とする知識がなくても読める。池田亮司と宮島達男の作品を「数」という観点から分析する崇高論もいい。2022/06/04
十文字
0
美学における”崇高”の意味が自分の中でアップデートできたと思う。 あと、新潮流の思弁的実在論から美学を考える視点を知る。いずれにしても、グレアム・ハーマンは一度読まなければならないようだ。2022/06/01