内容説明
サトウキビ畑で生まれ育ち、人妻と恋におち、殺人未遂事件をおこすが、ヴードゥー教と繋がった秘密結社に入り、結社間の抗争にまきこまれてゆく青年メネヒルドの運命。どんな出来事も魔術的な性格をおびているキューバの黒人社会を躍動的に描いたデビュー作。
著者等紹介
カルペンティエール,アレホ[カルペンティエール,アレホ] [Carpentier,Alejo]
1904年、スイスのローザンヌに生まれ、80年、パリに没した。小説家。主にハバナで教育を受け、1924年から文化雑誌『カルテレス』に寄稿し、政治運動にも参加、マチャード独裁政権下、27年に投獄される。28年、フランスに亡命。59年のキューバ革命後ベネズエラからハバナに戻り、文化活動に協力、晩年は外交官としてパリで暮らした。1977年、ラテンアメリカ作家としてはじめてセルバンテス賞受賞
平田渡[ヒラタワタル]
1946年、福岡県に生まれる。1967年から68年までスペイン・セビリア大学文学部に留学。1973年、神戸市外国語大学大学院外国語学研究科イスパニア語修士課程修了。関西大学名誉教授。専攻、スペインおよびラテンアメリカの文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
warimachi
5
カルペンティエールにしては読みやすい!と思いつつあっさり読み終えてしまったが、処女作だったのか。大分治安の悪い青春小説として読めてしまうが、わかりやすさのおかげで才能の豊かさはむしろ顕著。2021/11/30
ざじ
3
血の気の多い青春ストーリーが進むにつれ魔術的要素がどんどん強まってくる 祭りの熱気が最高潮になったところでサクッと終わってしまった感があるけど、読みやすい2024/02/04
gibbelin
3
処女作と言われればそんな感じだが、さすがの文才。秘密結社の入信儀式と刑務所の描写がやたら詳しい。2021/10/18
Erinelly
2
白人の描く黒人世界ってどのようなものか興味があって読んでみた。これが、西欧的視点から見た、黒人=ワイルド、原始的、呪術的という見方の反映なのか、accurate description かは分からない。でも私個人としては、ガルシアマルケスのマジックレアリスムと似てて楽しめた。まあこの本の方がガチなマジック感強いけど。2022/07/07
中海
2
「誰が悪いんでもない世の中が悪いんだ」そんな時代に政治的な理由で投獄されていたハバナ刑務所にて23歳で執筆。おそろしい。作品出なくて本人が。スマホなんてない時代に、拘束されているのにもかかわらず情報量が半端ねえ。専門的に深くというより、浅く広くな感じではあるが、特別な脳みそ構造をしているに違いない。ただただその事実が宇宙人を認めるようでおそろしゅーて。内容は、本人が幼少時に交流のあった現地の人間がモデルらしい。マジックリアリズムだけども、テンカフが舞うような感じは全くなく、冷たい泥の中にいるような。2022/03/28