感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
55
「我々の背負う暴力とは、自ら体験した暴力だけではなく、その前から受け継がれた別の暴力でもある。 (…) すべての暴力は一つに繋がっているのだ。」ケネディ、ウリベ、ガイタン、三人の暗殺事件にまつわる物語は情報量も多く、忍耐を強いられる部分も多々あったが、真相が明るみに出る最終章には心動かされた。あまり複雑な筋書きではないものの、過去と現在を行き来する入れ子構造は迷宮のような感もあり。しかし、作者の分身である語り手と、”陰謀”に取り憑かれた男との因縁がどこに終着するのか気になって巻を措く能わずであった。傑作。2021/08/01
かもめ通信
17
こんなに細かい文字でぎっしり詰め込まれたのでは、老眼鏡でもなかなか厳しい。これは読み切れないかも……などと途方に暮れかけたのがウソのよう…相変わらずバスケスは面白い。2021/11/01
毒モナカジャンボ
1
『コスタグアナ秘史』や『物が落ちる音』を読んできてようやく気づいたが、バスケスはずっと、声を抑圧された者、奪われた者に(単にポストコロニアル的な視線というだけでなく)寄り添ってきたのだ。歴史的な事件の場所で現在と回想を平然と交錯させたり、失墜したアンソラの回想を現在形にする、ゼーバルトの手法を転用するなど技巧に溢れているが、そもそも語りの力がありすぎるのであまり鼻に付かない。ゼーバルト+プルーストといった趣で人生と国家の歴史・記憶という柱を立てる。あとSNSへのヘイトが高くて良い。2022/04/12
gkmond
1
長かった。構成はこうするしかなかったんだろうか……。あと10ページくらいまでどう着地させるのかわからないところはよかった。読んでいて日本の未来っぽいなあと思う件が何箇所かあった。2021/11/15
べっか
1
バスケス3冊目。繰り返される暴力の歴史。権力が操る陰謀。あたりまえのようにあったコロンビアの暴力の連鎖を饒舌に物語る。中盤での登場人物の多さに少し頭がくらくらした。バスケス本人を主人公としたのが他の作品とは異なる。題材は他の作品よりも地味かな。2021/08/16
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- 和書
- 道路環境 (新版)