内容説明
2020年春、ひそやかに迫り来る新型コロナウイルスの脅威。変容する世界のなかで、美術史研究者の真希は乳がんと宣告される。病の意味を問い、乳房を失うことの意味を問いながら、真希は自らの生のあり方を見出していく…。かつて受けた予言や、美術作品の「美」に翻弄されながらも、真摯に生と向き合う夫婦を描いた、著者渾身の一冊。
著者等紹介
加藤有希子[カトウユキコ]
1976年、横浜市に生まれる。現在、埼玉大学准教授。専攻は美学、芸術論、色彩論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コムラー
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埼玉大学の美学者・加藤有希子(著)の作品。 病(乳がん)と医学・科学と呪術・信仰について考えさせる自伝的小説。 女性が博士課程修了し大学に職を得ることの困難さも感じた。 吉岡洋(美学者)の解説あり。 「呪術と科学」以外の何かを探求する小説に思えた。 山本七平の「日本では、無自分論者は社会的失格者になる」という言葉を思い出した。2024/05/14
ざっと
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購入した芸術品はもちろん、一人称の語りや主人公から見た他人や情景もすべて心情を垣間見るために設定されているようで、こういう小説を読んだ経験が少ないのもあり、とても面白かった。 主人公に共感できたりできなかったり。展開のドラマチックな起伏のないこういった雰囲気、意味、美を楽しむ小説をもっと読んでみたいなと思った。2022/04/21
わ
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美や美術の人生における価値を考えさせてくれる作品。乳癌とコロナの記述が日記形式で臨場感が高い。2020年を振り返るにもいい作品。一気に読めるワクワク感がある。2021/09/28
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