内容説明
団地から見渡す戦後映画史&住宅史。戦後の住宅難を受けて建設された“団地”は、日本人の新しい生活様式を象徴する憧れの的であったが、高度経済成長が下火となる1970年代にはその新奇性は早くも揺らぎ、80年代以降は社会発展の残滓・病理とみなされ、今やノスタルジアの象徴でもある。歴史の中で「新時代」「密室」「郊外」「不気味」「懐古」など千変万化のイメージをまとってきた団地は、映画においては覗きの標的、昼下りの情事の寝床、活動家の潜伏地、男の子たちの戦場、幽霊の住処…など、相貌を変えながらもやはり時代の息吹を指し示す存在としてあった―つねに同時代を代弁/批評してきた“団地映画”を解読し、「住むこと」の変遷を描き出す、はじめての本格的団地映画論!
目次
団地映画を問題化する
第1部 「憧れ」の団地(選ばれない団地;団地映画の家族たち;火を吹くゴジラと燃えない団地)
第2部 「団地妻」たちの団地(立ち上がる団地の母親たち;日活ロマンポルノに現れた「団地妻」)
第3部 団地映画と「日常」(団地とメディアと若松孝二;団地文学のアダプテーション)
第4部 団地映画の「成熟」(団地映画はノスタルジアの夢を見るか?;ホラーの舞台としての団地)
著者等紹介
今井瞳良[イマイツブラ]
1988年、愛知県に生まれる。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、茨木市立川端康成文学館学芸員。専攻、映画研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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