内容説明
芸術、戦争、原爆、幽霊、故郷―日本を舞台にした『遠い山なみの光』『浮世の画家』など初期作品の読解はもちろん、未刊行の草稿ノート類の調査によって見出された、日本をめぐる幻の作品たちも大々的に紹介・考察。イシグロに潜在し、イシグロを包みこむ、近くて遠い“日本”のかたちを見晴るかす。
目次
イシグロの背信
夕餉に響く山の音とキリストの声
未刊行の初期長編「長崎から逃れて」―カズオ・イシグロの描く原爆
幻のゴースト・プロジェクト―イシグロ、長崎、円山応挙
フィルムのない映画―吉田喜重による『女たちの遠い夏』
『浮世の画家』を歴史とともに読む
イシグロの名声
自己欺瞞とその反復―黒澤明、プルースト、『浮世の画家』
『わたしたちが孤児だったころ』における故郷への違和感と失われた母語
「蜘蛛であること」―カズオ・イシグロの二世界文学
著者等紹介
田尻芳樹[タジリヨシキ]
1964年生まれ。東京大学教授(イギリス文学)
秦邦生[シンクニオ]
1976年生まれ。東京大学准教授(イギリス文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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