内容説明
世界の野蛮さを前に、なおもドストエフスキーの言葉を口にすることはできるのだろうか?プラトン、カント、メルロ=ポンティをはじめとする西洋思想、“気韻”“神韻”を芸術創造の骨子とする中国思想、それと共振するセザンヌの革新的な芸術論などを手がかりに、倫理的な“美”のあり方を問う。
目次
第一の瞑想
第二の瞑想
第三の瞑想
第四の瞑想
第五の瞑想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
5
フランソワ・チェンは中国で生まれ、フランスに渡った作家・詩人である。彼が知人の芸術家や作家などに向けた5夜の講話をもとに生まれたのが本書だ。美とは何かについて、自身のルーツである中国文化と西洋文化を入り交え、考察を重ねる。第一の瞑想では悪と美の問題に触れる。続く瞑想では、美の瞬間性と永遠性について、自然に由来する美、人の眼差しにおける美、西洋と中国の伝統についてと、次第に深堀りする。彼の言説の一番の特徴は、儒教や道教と行った中国の伝統を、プラトンから連綿と続く西洋の美概念に取り入れようとすることだ。2022/12/08