内容説明
環境は文学でしか語りえないのではないか。マイク・デイヴィス、ダンバー=オーティーズ、カレン・テイ・ヤマシタ、林京子、水上勉、日野啓三らの作品を読み解き、環境への意識がどのように生じ、いかにその場の力に触発された言葉が生まれるのかをさぐりつつ、その意識の変容をたどる試み。
目次
第1章 米国西部の環境表象(自動車が運ぶアメリカ―アプトン・シンクレア『石油!』の西部幻想;南西部の赤い土―ダンバー=オーティーズの回想録を読む;都市とパストラル―パストラル概念の再考と“環境の感覚”;儀式による「米国西部」の再イメージ化)
第2章 林京子における大地のリアリズム(ヒバクシャと越境する場所の感覚;林京子論―即物的に語り続けた理由;林京子インタビュー 文学と核の接触領域)
第3章 故郷と離郷のはざまを読む(向かい風と返し風―在日歌人李正子の「風」を読む;聞き取れない歌―広津和郎の「さまよへる琉球人」;原発のある風景―水上勉『故郷』における里山の変容)
第4章 越境する場所の感覚(日野啓三の戦後風景論;エコ・コスモポリタニズムとは何か―ハイザの『場所の感覚と惑星の感覚』を読む;脱自然的自然を生きること―阿賀と水俣、アマゾンの環境的交差)
著者等紹介
小谷一明[オダニカズアキ]
1965年、新潟県新発田市に生まれる。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、新潟県立大学国際地域学部教授、ASLE‐Japan/文学・環境学会副代表。専攻、アメリカ文学、環境文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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