内容説明
古代ペルシャを舞台に繰り広げられる“権力”と“愛”と“夢”をめぐる四幕の戯曲。19世紀オーストリアの最高の劇作家と評される著者が帝都ウィーンを騒然とさせた代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kero385
19
[第ニ部] グリルパルツァーは「夢は人生」を書くに当たり、手本としたのはヴォルテール「白か黒か 哲学的物語」だといっている。カルデロン「人の世は夢」については、影響は題名だけだ、と彼自身が語っている。けれど、グリルパルツァーは「人の世は夢」をスペイン語から独訳を試みてもいるし、「夢は人生」の主人公ルスタンが戦いによって権力を自分のものにする展開などは、カルデロン劇のこだまを感じる。なにより「夢」が、劇進行の重要なモチーフである点は、否めない事実だ。2025/08/07
刳森伸一
5
カルデロンの『人生は夢(人の世は夢)』のパロディ的なものかと思ったが、実際には、他の方が既に指摘しているように『邯鄲の夢』のバリエーションであった。異なるのは、夢見る主人公の行動の後押しをする召使の存在。夢の中の召使は主人公のハイド的側面だろうか。黒々とした野心と憎しみにも似た感情が発露されるのが、現代的であり、西欧的であると思う。2020/06/30