内容説明
ベルリン・ダダ唯一の女性メンバー、ハンナ・ヘーヒ(1889‐1978)。「反芸術」を掲げた前衛運動に参加しながらも、フォトモンタージュをはじめ終生つねに実験的な作品をつくりだしていく背景には、驚くべきヴィジョンに貫かれた創作意識があった。波乱万丈のその生涯とともに、再評価が著しい女性美術家のうちにあるイメージ思考を解きほぐす、初のモノグラフ。
目次
第1部 春雷に遭う―一八八九‐一九二二年(巣立ち;大戦下のふたつの嵐;ベルリン・ダダ;コラージュの森へ;ダダ・メモリアル)
第2部 ワイマールの夏を奔る―一九二二‐一九三三年(国際的アヴァンギャルドのほうへ;ヴァニタス、あるいは夢幻の風景;レスボスの饗宴;民族誌博物館から;時代の終焉の“アルバム”)
第3部 冬を生き延びる―一九三三‐一九七八年(内なる亡命;ダダふたたび;人生コラージュ;秘められた国「日本」;開いた門)
著者等紹介
香川檀[カガワマユミ]
1954年、東京都に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。武蔵大学特任教授。専攻、表象文化論、ジェンダー論、二〇世紀美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポルポ・ウィズ・バナナ
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ハウスマンとの不倫と2度の中絶。同性のブルクマンとの同棲。21歳年下のマティーエスとの結婚。文字だけみるとエキセントリックな印象受けるが、感覚的には全くそんな感じはなく、寧ろどこか浮世離れした人物に思える。それはヘーヒの作品の力であったり、ダダとの距離感によるものなのだろうか。そう、人物も魅力的だが、とにかく作品が凄い好き。コラージュなんて誰でもできそうだけどヘーヒの作品は全然違う。ゴダールやタランティーノみたいな映画は誰でも真似できそうだけど、いざやると全く出来ないようなものだろう。2023/03/14