内容説明
文学は死んだのか?―18世紀、「崇高の美学」にあと押しされて文学は栄光まで昇りつめた。しかし19世紀末、文学に「別れ」を告げた3人の作家―ランボー、ヴァレリー、ホフマンスタール―が現れ、20世紀にはついに自閉状態にまで落ち込み、文学はその影響力を失っていくことになる。この3世紀のあいだに文学に一体なにが起こったのだろうか?文学と世界との関係が切り替わる転回点をたどり、大胆に文学史を読み換える新たなマニフェスト!
目次
序章 文学は変わらないという考え方と縁を切るために
第1章 文学との訣別
第2章 偉大な司祭たち
第3章 自律性の獲得
第4章 形式への埋没
第5章 災厄の詩
第6章 詩の敗北
第7章 相次ぐ自殺
終章 極度に意識的な文学
著者等紹介
マルクス,ウィリアム[マルクス,ウィリアム] [Marx,William]
1966年、ヴィルヌーヴ=レザヴィニョン(フランス)に生まれる。現在、パリ第十大学教授。専攻、比較文学
塚本昌則[ツカモトマサノリ]
1959年、秋田県に生まれる。現在、東京大学大学院教授。専攻、フランス近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三柴ゆよし
14
最大の盛り上がり(ランボー、ヴァレリー、ホフマンスタールのくだり)が序盤に来るので、後半は徐々に失速していく感は否めないが、たとえば上記の三人を代表とする書かない作家列伝として秀逸なエンリーケ・ビラ=マタス『バートルビーと仲間たち』の副読本として読んでみると、ものすごくおもしろい。2019/04/25
Lieu
0
「芸術のための芸術」を唱えはじめたときから文学は孤立し、かつて持っていた社会への影響力を失ったという論には同意する。全体として説得的な文学衰亡史である。だが映画やアニメが文学にとって代わったように見えても、フィクションや告白を人間が求めることはかわらず、またリアリズムやカフカエスクから文学の書き方は進歩していなくても、未だに新しい型の物語は生み出されている。2020/11/20
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