出版社内容情報
身近な小動物や山川草木の世界に慈愛のまなざしを向け、『山椒魚』などの異色作、『ドリトル先生』の翻訳、また時には『黒い雨』といった問題作をも世に問うてきた井伏鱒二。
特段の知識も小説技法もないし、高遠な理想もなければ深遠な思想もない。そうではなくて、もっぱら地に足ついた生活実感のただなかで創作を続けた静かな巨人、その豊かでいとおしい文学世界を逍遥する。
勝又浩[カツマタヒロシ]
著・文・その他
内容説明
自然を愛し、地に足ついた生活実感のただなかで創作を続けた井伏鱒二。岩屋のなかの山椒魚は、作者とともに人間の悲しみを背負い続けた―平穏な日々を綴るかに見えるその小説には、しかし「人類古来の悲しみ」が静かに織り込まれている。巧まざる文学によって生そのものを見つめた井伏鱒二の人と作品をめぐる逍遙。
目次
山椒魚の忍耐―『山椒魚』と『賭』
ドリトル先生とテスト氏―井伏鱒二と小林秀雄
川と街の考現学―井伏鱒二と横光利一
屈託とやつれ―『引越やつれ』『夜ふけと梅の花』
幸と不幸の配分方程式―『歪なる図案』『朽助のゐる谷間』
理想郷としての主従―『さざなみ軍記』『かるさん屋敷』
常識交換―『花の町』『遙拝隊長』
立ち会う「私」―『へんろう宿』『山峡風物誌』
山川草木の説―『青ヶ島大概記』
もう一つの戦後文学―『病人の枕もと』
黒い雨と白い虹―『黒い雨』
著者等紹介
勝又浩[カツマタヒロシ]
昭和13年、横浜市生まれ。文芸評論家、法政大学名誉教授。主な著書に、『中島敦の遍歴』(筑摩書房、平成16年、第一三回やまなし文学賞)、『私小説千年史―日記文学から近代文学まで』(勉誠出版、平成27年、第二八回和辻哲郎文化賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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