内容説明
詩人であり、写真家でもある著者による、記憶、死者、神話、作家たちの交錯する、幻想的でシュルレアリスティックな写真論。
著者等紹介
マセ,ジェラール[マセ,ジェラール] [Mac´e,G´erard]
1946年、パリに生まれる。詩人、写真家
桑田光平[クワダコウヘイ]
1974年、広島県府中市に生まれる。東京大学大学院博士課程満期退学。パリ第四大学文学博士。専攻、フランス文学・芸術論。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
135
思索が生んだ言葉達。カフェで、庭で、ベットで、写真について、夢について、考える、思索する、瞑想する。作者マセの撮る写真が添えられていたらいいなと思うが、写真が与えるものが、彼がアウトプットした言葉のイメージと重ならないかもしれず、言葉から想像されるものを限定してしまうのかもしれない。今の私は、ひたすら吸収する人で、読んだものや観たものを急いで咀嚼し、溜め込んでいる。ずっと吸収しきれないままかもしれない。マセは、見たり感じたりしたことを、反芻・咀嚼し、言葉に紡ぐ。まさにréfléchirする人。2019/02/21
林克也
2
ジェラール・マセの世界を味わうことは、なかなか手強い。彼の文章から、現像液に浸けた印画紙から夢や記憶、そして死んでいった人々が次々に浮き出し、朧げな形状で、昼夜も天地も逆転した空間を飛び交っている世界、という感覚を受けた。彼の写真を見て、それから文章を読むと、文字の間からくっきりと形が浮かび上がるのではないかと思う。ところで、今、現像液とか印画紙とか言ってもわからない人が多いんだろうな。あの匂い、あのドキドキ感、そしてその前段階としての、光を読み動きを捉えてシャッターを切る瞬間の緊張感。いいなあ。 2019/03/28