内容説明
裕福で美しい歌姫リュセットは、魅力的だが一文無しの青年ボワ=ダンギアンに首ったけ。一方、ボワ=ダンギアンは彼女への想いを引きずりながらも、資産家である男爵令嬢ヴィヴィアンヌとの結婚を決意していた。婚約の直前に至ってもなお別れを告げることができない彼は、リュセットに言い寄る男たちに翻弄され、カネか恋かという究極のジレンマに直面する…。19世紀末のパリ社交界を舞台にままならない恋の駆け引きを描くフランス式艶笑コメディの傑作。
著者等紹介
フェドー,ジョルジュ[フェドー,ジョルジュ] [Feydeau,Georges]
1862年パリ生まれ。フランスの劇作家。奇妙でおかしい状況設定と巧妙な筋立て、当意即妙の台詞によるヴォードヴィルが人気を呼び、ブールヴァール劇を代表する作家の一人となった。1921年没
桑原隆行[クワハラリュウコウ]
1952年、岩手県北上市生まれ。現在、福岡大学人文学部フランス語学科教授。専攻、フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
8
歌手リュセットの恋人は、貧乏なダンギアン青年。しかしダンギアンは資産家令嬢と婚約をする。何故か彼らの周りに集まるのは変人ばかり。リュセットを自分の恋人にするために邪魔な恋敵を殺す気満々のイリガ将軍、体臭のきついフォンタネなど。このコメディーでは男性陣の活躍が際立っている。その中でも一番のダメ人間は主人公のダンギアン。リュセットに別れ話を言い出せないばかりに、失態を次から次へと行う。真綿で首を絞めるように逃げ道がなくなっていく様子は哀れで、バカげてもいる。コメディーとして愉快な一幕を楽しむことが出来た。2018/06/14