内容説明
これまで深く考察されてこなかったベケットと監獄との親密な関係を探究しながら、グローバル化した世界の様々な危機的状況を映し出す“鏡”としてベケットの作品を論じる。現代を生きる我々の実存を閉じ込めてきた“(不)可視の監獄”を浮き彫りにする、イタリア在住の演出家による渾身のベケット論。
目次
歴史的寓話
第1部 ベケットと監獄―平穏な客席ではよく分からない芝居(監獄での『ゴドーを待ちながら』)
第2部 一人目のベケット―破壊的創造力(道化的破壊性;戦争という創造力)
第3部 二人目のベケット―技術空間の中の道化(道化の失語症;歴史の音風景が生む新しい声;光学的闘争(逃走)の軌跡
技術の知性が書く歴史
『クワッド』)
第4部 三人目のベケット―歴史の瓦礫に舞い降りた天使たち(歴史の語り部;神の無関心;ゼロの身体を超えて;東京でゴドーを待ちながら)
著者等紹介
多木陽介[タキヨウスケ]
1962年、東京都に生まれる。演出家、アーティスト、批評家。早稲田大学大学院文学研究科芸術学(演劇)専攻博士課程中退。1988年に渡伊、現在ローマ在住。演劇活動や写真を中心とした展覧会を各地で催す経験を経て、自然環境、社会環境、精神環境においてエコロジーを進める人々を扱った研究を展開。芸術活動、文化的主題の展覧会のキュレーションおよび会場構成、講演、そして執筆と、多様な方法で、生命をすべての中心において人間の活動の哲学を探究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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