内容説明
1914年夏、若者は戦地へ赴いた。「せいぜい2週間で片がつくさ」そういって男たちは戦場に、女たちは留守を頼まれたのだが…端正な構成のなかに余白を残し、緊密にして軽妙な文体とアイロニーを併せ持つ作家が、フランスの片田舎を舞台に“第一次大戦”下の人々を描く。
著者等紹介
エシュノーズ,ジャン[エシュノーズ,ジャン] [Echenoz,Jean]
1947年、南仏のオランジュに生まれる。ソルボンヌ大学臨床心理学第三課程修了。小説家。1979年に『グリニッジ子午線』でフェネオン賞、1983年に『チェロキー』(白水社、1983年)でメディシス賞、1999年に『ぼくは行くよ』(集英社、1999年)でゴンクール賞を受賞
内藤伸夫[ナイトウノブオ]
1954年、和歌山市に生まれる。東京大学文学部仏文科卒。書店経営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
9
1914年、会計士のアンチームは23歳だった。故郷に片思いの人を残し、アンチームは友人たちと軍隊に加わった。ジャン・エシュノーズの作品は良くわからない。淡々とストーリーが進み、焦点を当てればいくらでも膨らませそうな話題にちょっと目をやるだけでどれも深追いはしない。さすがに結末に何かを持ってくるだろうと思っていたが、これほどまでのアンチクライマックスが待っていようとは。あたかも一冊の報告書のように論理的で、非感情的。それとも、癒やすべくもないこの非ロマン性こそが人生ということだろうか。考えあぐねてしまう。2016/03/18
アトレーユ
8
う~ん、なんだろうな、コレ。訳者の問題なのか、もともとこういう文章なのか? 話がブツ切りで、流れのない文章というか…。戦争にかりだされた男の話なのだが、中盤~終盤(戦時の前線での話の部分)はすごく臨場感がありよかったが、他の部分は…(苦笑) 読後の第一声は『だから何?』というストーリー&終わりかた(笑)2016/01/10
nranjen
4
図書館本。第一次世界大戦の悲劇的状況を淡々と描く。右腕をなくなったアンチーム、子供が生まれることを知らずになくなったアンチームの兄、男が誰もいなくなった町。脱走兵として処刑された者もいれば、帰ってきたとしても毒ガスにやられ後遺症に苦しめられる者もいる。アンチームはブランシュと結ばれることになりそうだが、あまりにも必然的でありながら、何かが欠如している。それを描き出すのがこの本なのか。巻末にさりげなく置かれている訳者による作者のインタビューが圧巻。エシュノーズのコアな部分が伺える。2021/01/05
とっしー
1
季節が移ろうように夏の陽射しは爆雷の閃光へすり替わる。湿った塹壕の底でちりぢりに砕けた仲間たちの四肢を集め、二度と閉ざされることのない瞼の奥で色と動きを失った瞳に見つめられながら、死ぬことさえ許されない兵士は背嚢にさらなる重荷を詰め込んで、果てのない悪夢を彷徨う。2023/02/04
GO-FEET
1
★★★☆2016/02/04