出版社内容情報
暴走しようとする散文の力と、それをある程度は統御し最小限の構造を与えようとする作者・小島信夫とが、あまりに長いあいだにわたってにらみ合いを続けるあいだに、この小説は例外的な長さと野放図な展開になってしまった。(千野帽子「解説」より)
著者生誕100年&没後10年記念出版!
小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第3回配本。
連載期間12年半、全4000枚。夫婦・親子・男女の愛の錯綜と混沌を凄絶なまでに描き尽くし、旧来の小説の方法を悉く破砕する伝説的問題作、著者随一の超大作にして日本文学史上に異彩を放ち続ける現代文学の極北。
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小説としての虚構性を維持できなくなった『別れる理由』は未聞の新局面へと突入。作者、そして実在の人物たちが登場、現実世界へと彷徨い出た主人公前田永造と対話を交わす。その先に仄見える、〈小説〉の新たなる可能性とは? 虚実の境を踏み越え、ついには我々の生きる現実をも小説化してしまった怪物的巨篇の最終巻。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
19
こんな小説を読もうとする者は通常の小説では飽きたらない人であるならば小島信夫がメタフィクション作家なのだと理解できる。藤枝静男と柄谷行人が登場して登場人物である前田永造(この本の主役)が作者になり済まして、それを作者が遠くから羨ましそうに眺めているという三者鼎談(会話)のシーンが秀逸。それは「ドン・キホーテ」が「偽ドン・キホーテ」と対決するシーンに似ている。前田永造は偽作者なのだが、それも作者の分身なのだ。その合わせ鏡のようなところで藤枝静男と柄谷行人と会話するのは過去と未来を見渡す阿頼耶識なのだ。2025/11/30
yoyogi kazuo
1
藤枝静男、柄谷行人、大庭みな子、森敦らが延々とわけのわからない話をウダウダ続ける連載終盤は作者の開き直りしか感じさせないが、藤枝や柄谷や大庭がリアルタイムでどんな風に反応していたのか、坪内本にも書かれていなかった気がするので、自分なりに調べてみようか、でもそこまでする価値があるか躊躇せざるを得ない。解説の千野帽子の二十世紀後半日本のコンテンツ三大事故、という扱いが唯一面白かった。2021/06/26
0
。2016/07/03




