出版社内容情報
暴走しようとする散文の力と、それをある程度は統御し最小限の構造を与えようとする作者・小島信夫とが、あまりに長いあいだにわたってにらみ合いを続けるあいだに、この小説は例外的な長さと野放図な展開になってしまった。(千野帽子「解説」より)
著者生誕100年&没後10年記念出版!
小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第3回配本。
連載期間12年半、全4000枚。夫婦・親子・男女の愛の錯綜と混沌を凄絶なまでに描き尽くし、旧来の小説の方法を悉く破砕する伝説的問題作、著者随一の超大作にして日本文学史上に異彩を放ち続ける現代文学の極北。
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小説としての虚構性を維持できなくなった『別れる理由』は未聞の新局面へと突入。作者、そして実在の人物たちが登場、現実世界へと彷徨い出た主人公前田永造と対話を交わす。その先に仄見える、〈小説〉の新たなる可能性とは? 虚実の境を踏み越え、ついには我々の生きる現実をも小説化してしまった怪物的巨篇の最終巻。
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感想・レビュー
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