出版社内容情報
小島さんはいつも小説のことを考えていた、小説のことばかり考えていた、その一方で小島さんは何も考えてはいなかった、本人の口から聞いた話ではいつも締切りギリギリに一晩で書いた、短篇といっても60枚か70枚あるものを一晩で書けただろうか? 一晩は極端としてもたぶん二晩で書いたんだろう。三晩ということはなかったんじゃないか。(保坂和志「解説」より)
小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、最終配本。
小島文学はとうとう新境地へ。愛妻との生活、別荘での日々、友人たちとの対話、芸術への思索、人智を超えたものへの関心、過去と現在、忘却と啓示――あらゆる記憶/思惟/時間が小説の〈いま・ここ〉へと流れこみ、混濁と錯綜のうちに新たな小説世界が拓かれてゆく……。
単行本未収録作品「すばらしい一日」「黒い砂」「六月の風」「ピクチュア・ハット」「対談のことから」をふくむ、全22篇(1982〜1989)を収録。
目次
月光
青衣
蜻蛉
合掌
高砂
再生
白昼夢
すばらしい一日
肖像
戦友会
マリフ
予兆
平安
浅き夢
黒い砂
日光
落花の舞
六月の風
ピクチュア・ハット
ブルーノ・タウトの椅子
湖の中の小さな島
対談のことから
解題 柿谷浩一
奥義はいまもわからない 保坂和志
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
2
小島信夫の全短篇小説を網羅するシリーズの第7巻。1982年から1989年に発表された22作を収録。保坂和志による解説が良い。《二度、三度、四度と、読めば読むほどよくわからない》小島信夫の小説の楽しみ方がよくわかる。【収録作品】月光、青衣、蜻蛉、合掌、高砂、再生、白昼夢、すばらしい一日、肖像、戦友会、マリフ、予兆、平安、浅き夢、黒い砂、日光、落花の舞、六月の風、ピクチュア・ハット、ブルーノ・タウトの椅子、湖の中の小さな島、対談のことから(解題=柿谷浩一、解説「奥義はいまもわからない」=保坂和志)2015/06/11