出版社内容情報
小島信夫は読んだ本をよく忘れる。あるいは忘れているふりをする。いや、もっと正確には忘れることを望み、むしろ忘れることを読書の方法と見なしさえしているように思えることがある。(中村邦生「解説」より)
小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、第6回配本。
巨篇『別れる理由』への迂遠な助走となった連作「町」の作品群、そして、『菅野満子の手紙』『寓話』など破格の長篇のかたわらで綴られ、小説とエッセイ、記憶と忘却を縦横無尽に横断/往還する、メタフィクショナルな短篇世界の全貌。
中期の佳編「ハッピネス」、自意識過剰な飼い犬との奇妙な対話の中に主従関係のねじれを描く異色作「石遊び」、手紙や自作の引用によって読者を翻弄してやまない「返信」などの他、単行本未収録作品「観客」「続モンマルトルの丘」をふくむ、全23篇(1971〜1982)を収録。
目次
人探し
観客
仮病
ハッピネス
山へ登る話
小さな神様
二度の訪問
美わしの涙
あいびき
よもつひらさか
石遊び
モグラのような
ワラビ狩り
わんこソバ
スキット
歩きながらの話
泣く話
続モンマルトルの丘
女たち
レオナルド・ダ・ヴィンチの夜
返信
有縁
『一寸先は闇』
解題 柿谷浩一
〈うろおぼえ〉という作法 中村邦生
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
1
小島信夫の全短篇小説を網羅するシリーズの第6巻。1971年から1982年に発表された14作及び連作短編「町」シリーズ9作を収録。【収録作品】人探し、観客、仮病、ハッピネス、山へ登る話、小さな神様、二度の訪問、美わしの涙、あいびき、よもつひらさか、石遊び、モグラのような、ワラビ狩り、わんこソバ、スキット、歩きながらの話、泣く話、続モンマルトルの丘、女たち、レオナルド・ダ・ヴィンチの夜、返信、有縁、『一寸さきは闇』(解題=柿谷浩一、解説「〈うろおぼえ〉という作法」=中村邦生)2015/06/10