出版社内容情報
江戸時代の暗部とは。著者が集めた膨大な史料ファイルを元に、江戸の奥深い“闇”に鋭く切り込む!
内容説明
島原の乱以後、幕府倒壊寸前まで戦争も内乱も経験せず、総じて平和を享受していた時代においても、刑場や屋敷の中、そして路上で、合法と違法を問わず、目を覆い耳を塞ぎたくなるような情景が繰り広げられていた。太平の世の裏にある、暗くて深い江戸の闇。
目次
第1章 生首と旅する男
第2章 今日は処刑見物
第3章 情痴の果て
第4章 血達磨伝説
第5章 生きている屍
第6章 小塚原の犬
第7章 死体を塩漬けにする話
第8章 胆取り肉割く人々
第9章 優しさのゆくえ
増補 薩摩の鞘割
著者等紹介
氏家幹人[ウジイエミキト]
1954年、福島県生まれ。東京教育大学文学部卒業。日本近世史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
58
生首の質入れ、処刑見物、情死に細川の血達磨に生きている死体、死体を食う犬が居るかと思えば死体を塩漬けにする話があり、果ては解剖のための死体のあれこれ。どの頁を捲っても血の匂いや死臭が漂ってきそうな一冊。ただどれもこれも興味深い話ばかりで、戦々恐々としながらも目が離せなくなる。しかもどの話もほぼ初めて目にするものばかりなのがまた面白くて…。家督相続の為の作法で死体への取り扱いや明治の解剖用死体の入手方法、死体を塩漬けにする作法などご存知でしたか?江戸の闇の部分を覗き込むのに、格好のガイドブックであった。2018/04/29
ふたば
10
現代から考えるなら微罪に当たる罪でも命を持って償う。武士であれば、こんなことで!?と思うような場合でも切腹となる。連座という習慣に置いてはローティーンでも切腹する必要が出て来るが、これはほぼだまし討ち。ここまでしなければならないのかと思うが、当時の人たちにとっては重要な事。他にも、当時の血の匂い立ち上る所業の数々は、なかなかに衝撃的である。刀の試し切りも然り。西洋であれば斧を使う斬首も日本であれば刀が使われる。失敗すれば地獄絵図。胆が薬になるなど、驚きの文化。少しずつ緩和されたことがありがたい。2022/09/18
眉毛ごもら
2
再読。息抜きに……読む本か?どうかは別として江戸の残酷話あれこれ。獄死した罪人の塩漬のレシピ!(後日処刑執行)とか出てくるのでそういうのだめな人は読んじゃだめ。先日読んだ大江戸死体考の作者の本なので内容的にはかぶるところはあれど、堂々としたスリの手口や痴情のもつれによる殺人、死んだ後の末期養子の誤魔化し方やら給料のもらい方、火事の際に割腹して腹の中に主家の家宝を入れて守った血達磨伝説など興味深い話も多い。処刑が見世物状態だったり人も多いだけあって江戸の街は死体と縁が切れぬ街だなあとしみじみ思うのである。2020/04/30
見もの・読みもの日記
1
史料の中から著者が選び抜いた「血とエロス」を感じさせる逸話多数。しかし江戸時代の死体の扱い(試し斬り、肝取り、解剖)と、今日の人体部品ビジネスの進化を比べてみると、残酷って何だろう?と考えてしまう点もある。近年の国立公文書館の企画展示と共通する話題いくつかあり。2017/06/01
ふたば
1
なかなか読み応えのある一冊。 江戸時代から明治くらいまでの日本人の生活を、犯罪・司法からの視点でなかなか面白く書いていると思う。 2017/03/28