出版社内容情報
満洲国建国85周年にあわせて刊行。人気の高い満鉄ポスターや、満州国のプロパガンダ・ポスター100点以上を中心に、満州国内で発行されたグラフ誌、絵葉書、レコードレーベルなどを網羅的に収録。幻の国家・満洲国のプロパガンダや人びとの暮らしがわかる貴重な資料が満載の一冊。
内容説明
幻の国家のイメージ戦略が貴重な資料からよみがえる！
目次
第１章 観光でのイメージ戦略（プロパガンダとしての満洲観光旅行；南満洲鉄道の観光ポスター；満洲航空ポスター）
第２章 満洲国の建国と理想（満洲国建国と建国記念日；皇帝即位；英語によるポスター；国務院によるポスター；日本と満洲）
第３章 国内向けの宣伝ポスター（ポスターに描かれた満洲国の「理想」；「王道楽土五族協和」；民衆に向けて理想や日満提携を訴えるポスター；社会問題などを訴えたポスター）
第４章 切手や地図、レコードにみる満洲国の姿（失敗した音楽による国作り；ヒット曲レコードでたどる満洲；切手にみる「五族協和」の理想；『満洲グラフ』と写真家たち；茶の間に広がった中国戦線）
著者等紹介
辻田真佐憲［ツジタマサノリ］
１９８４年大阪府生まれ。作家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。政治と文化芸術の関係について調査研究を進め、音楽ＣＤやムックの監修なども務めている（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫陽花と雨
18
五族協和を謳いながら、その実数%の日本人が権力を振るう傀儡プロパガンダ帝国。現地の方向けなのかと思っていたら、日本人に向けていたポスターもあり、そうまでしないと「仲良くしよ」が浸透しなかったというのだから、苦虫噛み潰したような気持ちになる。ポスターは消耗品なので残っているのが貴重な資料とのことなのだけれど、思ったよりポスター資料全開で、写真は少なめでした。もう少し写真資料も見たかったかな。特急あじあの切手がカッコいい。2024/10/10
kiho
15
貴重な資料かつ史実…当時は平穏な空気さえも流れていた時があったのかもしれない…それも含めて時代の流れの中で何が起こったのか、知ることが大事なんだと思う⭐2017/09/12
石油監査人
14
この本は、昭和初期に日本の傀儡国家として中国東北部に存在した、満州帝国のプロパガンダ用の資料を集めたものです。満州への観光旅行や農業での入植を促す目的で作られた、多くのポスターが目を引きます。概して、色彩が豊かで、デザイン性が高いものが多く、全体を覆う能天気な明るさに驚かされます。その後、満州が辿った悲惨な末路を考えると、当時は、根拠の無い楽観が人々の心の中を支配していたようです。人間の危機を察知する能力の欠如についても考えさせられる一冊でした。なお、この本は現在、販売が停止されています。2020/11/28
電羊齋
9
満洲国のプロパガンダメディアであるポスター、パンフレット、切手、地図、レコードをフルカラーで掲載。監修者がいみじくも指摘するように、「五族協和」・「王道楽土」・「日満親善」といったプロパガンダやスローガンの数々は皮肉にも理想の欠如や不足を暴露している。また、こうした華やかなプロパガンダメディアと現実の乖離、そしてそこに見られるオリエンタリズム的視線には、20世紀のその他の全体主義国家・社会主義国家とも共通したものを感じた。2019/06/06
hitotak
3
約80年も前の様々なポスター類がこんなにきれいな状態で残っていることに驚きです。これだけまとまったものが残っていることにも何かエピソードがありそうですが、そこは触れていないのが残念。観光絡みも、プロパガンダ系もデザインが大胆で色鮮やかに描かれ、魅力的です。どちらもいいとこだけしか伝えない共通点があるからかな。2017/05/05
-
- 和書
- ルイス・キャロル物語
