内容説明
戊辰戦争、西南戦争、日清・日露戦争…物語、風刺、そしてジャーナリズムとしての浮世絵。語られざる浮世絵の「戦争画」を読み解く。月岡芳年、小林清親、河鍋暁斎、楊洲周延らの貴重な130点超を収録!
目次
第1章 幕末の動乱
第2章 西南戦争
第3章 日清戦争
第4章 日露戦争
浮世絵の戦争画を語る意味
著者等紹介
日野原健司[ヒノハラケンジ]
1974年千葉県生まれ。太田記念美術館主席学芸員。慶應義塾大学大学院文学研究科前期博士課程修了。江戸から明治にかけての浮世絵史、出版文化史を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あまね
3
月岡芳年がこの辺りの絵を描いているのは知っていたけど、光線画の小林清親がこんなに戦争画を残しているのは知らなかった。幕末~明治初期にかけての武者絵にも似た勇壮な絵とはまた違う、日清・日露のモノクロ写真のような絵。20~30年の間に、浮世絵も絵師も随分変わったのだなぁ。2016/09/26
zikisuzuki
2
浮世絵は江戸の土産として流通して民衆が時事を知る大きな役割があったのだろう。現場に行くことのない絵師が想像の中で戦場を再現していて、一枚の絵に人物や出来事をめいいっぱい詰め込んでいる感じが好きだ。そして、それには躍動感や情感が溢れている。民衆はさぞかし憧れの目で戦争絵を眺めたに違いない。新聞や写真、銅版画に取って代われて、戦争絵の浮世絵が衰退してしまったのが必然としても、そんな画家が最大限の技法をもって素晴らしい戦争絵を残してくれた事に感動する。それにしても月岡芳年は凄い人だ。2016/09/19
樹。
2
月岡芳年の画を期待して。結構な数掲載されていて満足。2016/08/26
果てなき冒険たまこ
1
先日原宿の太田記念美術館に行ったので再読。幕末から日露戦争まで日本の戦闘の歴史とともに浮世絵の衰退するさまがよくわかる。まぁ報道にとってかわられるのは必然だったといえ、美術として細々と残っているだけなのだねぇ。うーん残念。2022/07/25
kaz
1
幕末の動乱、西南戦争、日清戦争、日露戦争をテーマにした浮世絵を紹介。幕末の動乱は、幕府からの咎めを懸念して戦国時代以前の合戦のシーンから判じさせるものも多い。西南戦争以降は絵師が積極的に「報道」に関わったという印象。尤も、日露戦争の頃になると、世の中の興味は浮世絵よりも写真にシフトしたらしい。絵師で多く取り上げられているのは、月岡芳年、揚州周延、小林清親。これが浮世絵かと思うくらいリアルで、小林清親の作品に至ってはまるでスケッチのようだが、テーマがテーマだけに華が無く、画面も暗い。2016/11/13