内容説明
昭和28年、西暦1953年の夏。三方を海に包まれた美しい港町で、船乗りを夢見る若者が老いた提督に出会った。かつて神と呼ばれた、戦艦「大和」の艦長、森下信衞だった。ある日、元GHQの大学教授が、面談を求めてきた。人道に対する罪について、証言を取りたいという。誇りを胸に、森下の最後の戦いが始まる。巨艦とともに戦い続けた提督の生涯を描く海軍闘将伝。
著者等紹介
秋月達郎[アキズキタツロウ]
作家。愛知県出身。歴史に題材を求めた作品を数多く発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごいんきょ
13
フィクションではありますが、戦史は歴史資料に基づいて記述されています。2020/09/04
こまったまこ
8
操艦の神様森下艦長の戦記ものかと思って手に取ったが、物語の舞台は終戦から8年後の昭和28年で語り手は19歳の少年。森下艦長は戦後の公職追放のために地元で煎餅屋を営んでいて、彼の回りには常に元部下たちが艦長を慕い集っていた。戦後の艦長の様子はフィクションではあるが、遺族から恨まれたり、GHQに謂れのない嫌疑をかけられたり、国の為に戦ったのにあんまりだと思った。その時々で語られる艦長の言葉が心中を推し量るに余りあってやるせない気持ちになった。艦長の心からは決して大和のことが離れることはないのだから。2015/09/24
ゆき
6
大和艦長だった方のお話。戦後の話で、とても世間から冷たい目で見られて、それでも地に足つけて生きている話。2017/05/03
★カイト★
6
戦中、秘匿だった戦艦「大和」の元艦長森下信衞をこの本の語り部である成瀬庄平目線で綴った物語である。たくさんの資料を参考にしたノンフィクションだが著者の秋月達郎氏の独自の解釈もあってリアルに生々しく描かれている。読んでいて難しい面も多々あった。けれども沈みゆく大和を乗組員たちは生きることを半ば諦めていた時信衞さんの激が翔ぶ。どんな時でも生きることを諦めなかった信衞さんや乗組員たちは戦後感謝し慕い続けた信衞さんの人柄がじわじわと心に沁みてくる。それでもたくさんの人が死んだ。遺族たちは→2015/09/17
無添
3
船乗りを夢見る若者が、かつて神と呼ばれた元大和艦長に出会う。2016/04/30