内容説明
ゴジラを演じる―世界的にも類を見ない偉業を成し遂げつつ、多くを語らなかった元祖ゴジラ俳優が、映画界入りから60年を機に、80歳を越えて初めて明かした苦闘のキャリアのすべて。新書化に当って新たなコメントを追加した、ファン待望の決定版!
目次
第1章 一九五四―円谷英二との出会い・『ゴジラ』
第2章 一九二九~一九五〇―生い立ち・戦争・東宝入社
第3章 一九五五~一九七二―栄光のゴジラシリーズ
第4章 一九五六~一九七〇―東宝特撮怪獣の世界
第5章 一九六六~一九七〇―ブラウン管の中の中島怪獣
第6章 一九五〇~一九七二―大部屋俳優として
第7章 一九七〇~―円谷英二の死・引退・そして現在
著者等紹介
中島春雄[ナカジマハルオ]
1929年1月1日、山形県酒田市出身。元俳優。1950年、東宝の専属俳優になる。『太平洋の鷲』(53年)で火だるまのファイヤースタントを日本で始めて演じ、翌年『ゴジラ』で先輩の手塚勝巳とともに、主役ゴジラのぬいぐるみに入る。以後、数々の東宝特撮映画で怪獣を演じた。並外れた体力と動物を観察したアクションで、日本独自のジャンルともいえる怪獣特撮映画に長く貢献した。円谷プロのテレビ作品でも多くの怪獣を演じ、『地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン』(72年)を最後に俳優を引退した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bura
70
ゴジラのスーツアクター、中島春雄の自伝である。東宝大部屋の名もなき役者だった彼が1954年ゴジラの「ぬいぐるみに入る役」を得て、後年世界中にリスペクトされる存在となった半生記。「ゴジラ」「キンゴジ」「モスゴジ」「地球最大の決戦」「マタンゴ」「サンダ対ガイラ」etc…。中島本人が語るリアルな打ち明け話が実に面白い。ゴジラや怪獣に関して自慢できることがあるとしたら「真似しなかった」と話している。ゴジラは中島春雄という役者の芝居で成り立っていたのだ。私たちに夢を与えてくれた昭和の活動屋の気概を読むことが出来た。2024/04/17
keroppi
10
何でもやる大部屋俳優が、ゴジラを通して世界的な役者となる。何と言っても一作目「ゴジラ」制作現場の熱さ(ほんとに暑かったようだ)が伝わってくる。「その後の怪獣はモノマネだ。自分は一から創ったんだ。」という自負心が素晴らしい。2015/06/15
マーブル
8
本書ではゴジラを演じた際のエピソード以外にも興味深い内容が綴られている。当時の映画界のスター俳優ではない大部屋俳優の日常。戦争中の生活。映画斜陽時代の逸話。中心話題ではない、個人的体験ではあるが、かえって生々しさも感じ、資料的価値もありそうだ。「おやじさん」こと円谷英二との関係。頼り、信頼していたことがひしひしと伝わってくる。円谷から頼まれたから詳しいことはわからずともぬいぐるみに入った。それは大部屋俳優としては当然のことだったかもしれないが、やがて円谷との絆により、それだけでは終わらぬものとなっていく。2024/07/30
ほしけも
8
きぐるみの中に入る怖さ、しんどさが伝わる。 役者は監督のいうことを忠実に行うというストイックさですが 創意工夫や肉体の鍛錬も相当されてるんだなあと感動します。2014/08/08
尿酸値高杉晋作
6
今の映画人よ、コレ読んでみてくれよ。 昔の映画は総合芸術なんだよ。2020/02/15